個人的な感想です。

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岡崎二郎『アフター0 Neo』は、「当たり前」を本当にそうなの?と問いかける短編集でした。

アフター0 neo 1 (ビッグコミックス)
岡崎二郎
小学館


岡崎二郎さんの『アフター0 Neo』1巻(小学館、2004)を読みました!

SFとファンタジーの短編集と言えばいいでしょうか。と言っても、ファンタジーよりSF成分の方がかなり多め、という感じはします。

ずいぶん昔の作品ですが、手塚治虫さんの『ライオンブックス』とかに似ている感じがします。なんというか、ペシミスティックな世界観、とでも言えばいいのでしょうか。理系の人にとって、なんとなく理解しやすい、受け入れやすい世界なんじゃないかな、というイメージを持ちました。

この短編集には、物事のウラのウラを見ようという感じがあります。岡崎二郎さんの作品では、『宇宙家族ノベヤマ』はウラのウラのウラは表というか、理屈っぽくはあったけど、何というか人類の未来を、人類がもともと持つ性質を信じよう、という姿勢が強く感じられました。この作品集は、もっと懐疑的というか、突き放したところがあると思うのですが、そのあたり、好きな人は好きなんだろうと思います。

私が一番好きなのは、第7話の『顔』かなと思います。

むかしの男に未練のある女が主人公と出会うと、どういうわけか主人公の顔がその男の顔に見えてしまうという特殊能力を持った男の話です。それを利用して主人公は女性の間を渡り歩いているのですが、ある時一人の女性と出会い、その女性に恋をしてしまうのです。

主人公はその女性と関係を深めますが、思いつめた女性はついに主人公を殺そうとしてしまいます。しかし刺されたその時、主人公は急に「能力」を失い、女性は「あなた、誰?」というのです。

そして、主人公は、「普通の男」に戻り、正気に戻った女性とやり直そうと図る、という話なのです。

この短編集のストーリーの組み立ては、基本的にこういう感じの長さのショートストーリーです。

これはSFというのとは少し違うので、SFと言える例を一つ上げると、8話の「永遠の天使 ピオ」が面白いと思いました。

「行動遺伝子」を操作することで、人間にとって都合のいい遺伝子を持った動物を作り出す「特許ペット業界」が飽和状態にまで普及した時代。主人公はチベットモンキーの遺伝子を操作して、外見が人間の子どもそっくりのサルを作り出します。しかし、このサル=ピオは人間の外見を持ちながら、人間ほどの学習能力がなく、主人公が苛立って調教しようとすると爪を立てて反抗し、それによって主人公は大怪我をしてしまうのです。

大けがをして「助けて」という主人公に、言葉を理解したピオは屋根に駆け上り、大声で「助けて!」と叫ぶことで主人公の窮地を救うのです。

これなどは、「科学が進歩することで明るい未来が来る」という古典的な科学観を否定するという伝統的なSFのパターンを踏襲しているともいえるのですが、それが「人間らしさとは何か」という問いに結びついているところで斬新だ、と思います。

つまりこの作品集は全体に、「その人らしさ」とか「人間らしさ」とか「運命とは何か」とか、ある意味自明と思われたものに対し、「本当にそれらは思っている通りのものなのか?」と問いかける作品が多いのですね。

そう考えてみると、まったく違うようにこの世界が見えてくる、かもしれません。そういう見方の広さの可能性を、この短編集は提示しているように思いました。
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