個人的な感想です。

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松田奈緒子さんの『重版出来!』第22話を読みました!(2)才能という化け物とどう付き合うか。


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(2014/03/28)
松田 奈緒子

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月刊スピリッツ8月号で松田奈緒子さんの『重版出来!』第22話を読みました!(2)

昨日は前半、新人作家・東江絹のパートの感想を書きました。今日はその続き、同じく新人作家の中田伯のパートの感想を書きたいと思います。

中田は、御蔵山の仕事場で自分のネームのノートを「ない、ない!」と叫んで探しています。慌てて黒沢に電話する中田。一方黒沢は同じ編集部の壬生と一緒にカツ丼を堪能しています。この作品の息抜きページはこの二人の食事場面ということが多いです。(笑)

そこに中田からの緊急電話。ネームノートの12冊め(笑・アイデアは湯水のように湧き出て来るわけですね)がない、と叫ぶ中田に、編集部に戻ったらすぐ確認します、という黒沢。中田は、もしなかったらあのババアが隠しやがったんだ、とつぶやきます。妄想に入ってしまったのでしょうか。

黒沢は編集部に戻り、先輩の五百旗頭(いおきべ)にネームノートについて尋ねます。黒沢は御蔵山の家に電話し、奥さんが出て伝言を伝えます。他のアシスタントは、お前がどっかやったんだろう、と笑いますが、チーフの沼田だけ笑いません。

編集部では、まさかいじめじゃないですよね、と心配する黒沢に、御蔵山先生のとこに限ってそれはない、という五百旗頭。(ということは他のところではあり得るということでしょうか)御蔵山のスタジオで美味くやっているんだろう、と言う問いに黒沢は、特に問題があるとは聞いてない、ときどきあっても落ち着いている感じだ、と言います。黒沢は五百旗頭にネームを読んでどう思ったか尋ねます。エンタメなので、キャクターデザインはもっと記号化し、一目で誰と判断がつくようにした方がいい、と言います。特にストーリーが抽象概念を扱っているので、読者へのストレスを最小限にして、キャラデザを「最大公約数的に先鋭化」する必要がある、と言います。黒沢はそれを聞いて理解するために腕立て伏せし、(笑)『それってつまり、かっこ良く!ってことですね!」と理解します。黒沢は「取るぞ連載!」とまた意気を上げています。

つまりエンタテイメントなので、誰が読んでもそのキャラクターが誰なのかすぐ分かるようにすることと、誰が見てもかっこいいデザインにする必要がある、ということなのですね。

「One Piece」を読んでて思うのは、確かにどのキャラクターもどれが誰だか凄く分かりやすいです。つまり「キャラがかぶる」ということがほとんどありません。その分、この世にいなそうなキャラクターばかりになっていますが、それを受け入れれば面白いですし、また「かっこいい」というのも、子供が見たらかっこいいだろうな、とか好きだろうな、と思うキャラクターが多いですね。

「One Piece」1巻にはキャラクターデザインについてのコラムが書かれているのですが、「モーガン大佐」というキャラクターについてのデザインの変遷が書かれていて、最終的に使われたデザインに決まった理由は、その前のものが「かっこわるい!」という理由だったそうです。これはなるほどと思いました。モーガン大佐は敵役なのですが、敵もやはりかっこ良くないと盛り上がらないんですよね。

御蔵山のスタジオで仕事をする中田。パース(遠近法。パースペクティブの略)が取れてないことをチーフの沼田に指摘されて中田は「何でパースとか正しく取らないといけないんですか?こっちの方が迫力があるのに」と反論しますが、「好き勝手は自分の原稿でやって」、と却下されてはい、と大人しく従っています。パースにこだわらない大物ぶり、と見てもいいのではないかと思います。

休憩中、スタッフたちとの雑談の中で、黒沢も関わった新人作家、大塚シュートの話題が出ます。中田は「そんなクソゆるいマンガ、本当に面白いと思ってますか?」とdisります。マッシュルームカットのスタッフが普通の設定でここまで面白くできるのは作家として力があるということだ、と言います。すると中田は、「そいつきっと挫折したことないですよ…人に嫌われたり疎まれたりしたことなくて。明るくて優しくて友達がいて。何でマンガ描いてんだよっていう」というのです。

長髪ヒゲのスタッフがそういうタイプ今じゃフツーだろ、ほめてんのけなしてんのどっち、と言うと、中田は「どっちでもないです。でもマンガで上手くいかなくても帰るとこあっていいですねって話ですよ」というのでした。

作業を終えた3人はいったん帰宅します。チーフの沼田は居残りで御蔵山と遅れている分を仕上げるとのこと。偉いなというマッシュルームに、長髪ヒゲが「そんなんだからいつまでもデビューできないんじゃねえの?」と言います。長髪ヒゲは「俺さ、デビュー諦めようと思って。」というのでした。御蔵山の原稿の完成度を見ているといつまでたっても追いつけないし、作品書くのに必要なパワーがどんどん減って来て、今でも十分食えてるからサポートする側で頑張ろうかなと思ってる、というのでした。それを聞いて中田はな何か思うところがあるようでした。

一方居残りした沼田と御蔵山。御蔵山はいきなり沼田に、「中田くんのネームノート、どこにあるの?」と尋ねます。しらを切ろうとする沼田に制する御蔵山。御蔵山は引き出しからノートを取り出し、「どうしてこんなことをしてしまったのか自分でも分からないんです…」と震えています。御蔵山は、「一つだけ言っておく。作品を描くのは自分の心の中をのぞき続ける作業だ。どんなに醜くても情けなくても逃げずに戦わなきゃいけないんだ」と言います。

沼田は絞り出すように言います。「先生俺は、あいつを殺したい。あいつの才能が羨ましい、妬ましい、あいつになりたい」と。

私もいろいろ才能のある人は、マンガではありませんけれども、見て来ていますので、才能を発揮する人に素直に感心するところもある反面、素直には接しられない面もありますから、この沼田の気持ちは分からなくはありません。思わず、足を引っ張りたくなることもあるでしょうし、たぶんけっこう無意識のうちにdisったり当てこすったりすることはあるんじゃないかと思います。まあ、ネームノートを隠したりトゥーシューズに画鋲を入れたりするかどうかはまた別の問題ですけどね。その感情を表現せずにはいられない、という人が、人間の中にはいるんだなあと思いますが、それを押し殺して心の中にどす黒く渦を巻かせるのとどっちがいいかと言うとなかなかどっちもどっちではあります。まあものを作る、作品を描くというのは自分の心の中をちゃんと観察しておかないといざそういう描写が必要になったときに上手く作品に昇華できませんから、その血反吐を吐くような気持ちを保存しておくしかないわけですね。

しかしまあ、「人のお花畑荒らしてる暇があったら、てめえの花を咲かせろや」と「NANA」のヤスが言う通り、そんな気持ちも含めるかどうかは別にして、とにかく自分の作品を作って行くしかないと思います。

東江のパートと合わせて、「才能」と言う化け物と人はどう付き合って行くべきか、というようなことがテーマの回だったと思います。次回もまた楽しみにしたいと思います。
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