個人的な感想です。

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モーニングで掲載の玉川重機さん『草子ブックガイド』が最終回を迎えました。

草子ブックガイド(2) (モーニングKC)/講談社

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本好きの読者の間で話題だった玉川重機『草子ブックガイド』が今週のモーニングで最終回を迎えました。今回取り上げられたのはヘルマン・ヘッセ『荒野のおおかみ』。どういう作品か知らなかったのですが、作中の紹介を読んで芸術家が落ち込んでいく負のスパイラルのようなものが描かれた作品なのだなと思いました。以下、ネタバレありまくりです。

物語では、売れない画家である草子のお父さんが、学生時代の親友に誘われて初めての二人展を計画します。大きな夢を描いて、夢中で制作に励むのですが、その友人はお父さんをだまし、出資した金を持ち逃げしてしまいます。お父さんは深く傷ついて、草子のもとを去ってどこかへ行ってしまうのです。この『荒野のおおかみ』はそのお父さんの友人がその話を持ってきたときに草子に薦めた本で、その友人の画家の姿、そしてお父さんの姿がそこに描かれているように草子は感じるのです。

この本を読み終えて、草子は、主人公ハリー・ハラに大きな問題を感じました。ハリーは自分の生き辛さのすべての原因を、自分の中にある「おおかみ」のせいにしていました。そして出会った不思議な女性、ヘルミーナに導かれるままにすべてを任せ、様々に流されていき、結局自分を失って空っぽになってしまった、と感じたのです。草子は、自分は決してそのようには生きない、と強く思います。

「どんな荒野で血の涙を流すことがあっても自分を捨てない。自分に期待しないで誰に期待するのか」

草子はそう決意し、自分の力で人生に立ち向かう強さを得たいと願います。そして去ってしまった父の絵を、このマンガでずっと舞台となってきた古書店・青永遠屋(おとわや)の棚に飾らせてもらって、「父の初めての個展」を開くのです。

そこに草子の出した招待状を携さえて、お父さんの尊敬する画家が訪れます。そして真摯な気持ちで描いたお父さんの絵を評価してくれるのです。ラストシーンはお父さんが描いたの草子の肖像画。やはり泣かせます。

読んでいて、作者の玉川さんも、筆一本で生きていくことの大変さ、つらさ、世の中と合わないこと、生きづらさというものを強く感じるところがあったのだろうなあと思いました。そしてそれを乗り越えて、自分を捨てずに生きていく強さを得たいと願ったのではないでしょうか。

玉川さんの絵は、『アタゴオル物語』のますむらひろしさんを思わせる画風。それに小説を巡る、必ずしも軽快とはいえないストーリーが加えられます。それぞれの小説に託されたメッセージを載せて、人が生きることはどういうことかということを、内気な中学生の草子の目から語らせているのです。ぽつり、ぽつりとしか口を開けない草子の口からこぼれ落ちる一つ一つの言葉が、百万言にも勝る生の重みを語って感動を呼ぶのです。

この作品は、モーニングでの掲載は最終回なのだそうです。最後にきて作者の渾身のストーリーになったなあと思います。具体的には描かれていないのですが、ほかのメディアでまた新たなストーリーが始まるということなので、また楽しみにしたいと思っています。

一人になった草子がどのように生きていくのか、青永遠屋の二人がどうしていくのか、そしてお父さんは帰ってくるのか。まだまだ物語は続きそうです。
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