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Dモーニング32号で惣領冬実さんの『チェーザレ 破壊の創造者』第93話を読みました!


チェーザレ 破壊の創造者(10) (KCデラックス)チェーザレ 破壊の創造者(10) (KCデラックス)
(2013/03/22)
惣領 冬実

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Dモーニング32号で惣領冬実さんの『チェーザレ 破壊の創造者』第93話を読みました!

息の長い連載、惣領冬実さんの『チェーザレ』です。印象としては本当に間欠泉的に時折掲載されるという印象なのですが、塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』以来ずっと取り上げられているイタリア・ルネサンス期の大物、チェーザレ・ボルジアが主人公の作品です。

と書きましたが、考えてみたら彼が取り上げられて来たのは同じくルネサンス時代の近代政治学の祖と言われるニコロ・マキャベリが『君主論』で取り上げて以来なわけですから、ある意味数百年間注目の対象になって来た人です。もちろん、彼が日本で特に注目されるようになったのはこの塩野さんのデビュー作以来なわけですけれども。

第93話は、学生生活を終えた1492年の4月ぐらいでしょうか。この年はボルジア家の母国であるスペインはエポックメーキングな年で、1月にイスラム教徒の最後の砦・グラナダが陥落してレコンキスタ(キリスト教徒によるイベリア半島再征服)が完成し、10月にコロンブスがアメリカに到達しています。

舞台はまずチェーザレの居所。有名な斜塔が描かれていることから、ピサだということが分かります。ピサはフィレンツェの外港のような都市ですが、フィレンツェとは仲の悪いことで知られている都市です。ピサは海港都市としてフィレンツェよりも早くから繁栄していました。このピサにあるサピエンツァ大学(神学部)に、物語の語り手・フィレンツェ出身の職人の息子・アンジェロやメディチ家出身(当時のフィレンツェの支配者・ロレンツォ・デ・メディチの子息)のジョヴァンニらとともに在籍していたのです。

主人公のチェーザレ・ボルジアはアラゴン王家に連なるとされるスペイン貴族・ボルジア家の生まれで、父ロドリゴはカトリック教会で出世し、当時は枢機卿の地位にあります。この作品では明確に『父』とされていますが、当時は一応はばかって「甥」とされていたはずですが。そしてその力によって、16歳のチェーザレはすでに故地スペインのパンプローナ司教に任命されていました。

ボルジア家と結んでいたメディチ家の子息・ジョヴァンニは卒業と同時にロドリゴと同じく枢機卿の地位に就き、アンジェロらを伴ってローマに入ります。93話はチェーザレたちがジョヴァンニがローマで受け入れられたらしい、といううわさ話をしています。この手紙はアンジェロが書いたものと思われます。

で、問題になるのが、ただの枢機卿ではなく、「教皇特使」に任命されるかどうかだ、とチェーザレは言います。教皇特使とは教皇代理として様々な判断を下す権力を持った存在だそうです。メディチ家はもともと貴族ではありませんからフィレツェにおける権力も流動的であり、ジョヴァンニが教皇特使になることによってさらに権力が盤石になり、また教皇庁とミラノとの関係をメディチが取りなす形でボルジア支持派が結束してチェーザレの父・ロドリゴが教皇に登極する可能性が高まる、と話し合っています。側近の一人であるミゲルが17歳で経験皆無のジョヴァンニを特使に任命する利点がどこにあるのか?と尋ねると教皇庁にとっても御しやすいのでそこが利点だ、という話になります。

しかし教皇選に向けて不安要因は、ロレンツォ・デ・メディチの健康状態だ、というチェーザレ。あと三年持ってくれれば、イタリアに新政権が出来る、というチェーザレ。すでにそういう大きな構想を持っていたことがここで語られます。「父上がローマを、メディチがフィレンツェを拠点としてこの混沌とした世界に秩序をもたらす。人々の心を教皇が導き世の秩序を力あるものが守る。この両輪が同じ方向を目指すことで我々はようやく前へ進むことが出来るのだ」と。

場面は変わってフィレンツェ。メディチ家の豪華絢爛な態勢を腐敗と攻撃する修道僧・サヴォナローラが哲学者・ピーコ・デ・ラ・ミランドラに呼び止められています。ロレンツォ・デ・メディチの見舞いに行かないか、と誘われたサヴォナローラは、ピーコと同行します。

一方メディチの館ではサヴォナローラが尋ねて来たということで騒ぎになりますが、ロレンツォは会うと言います。サヴォナローラはジョヴァンニの枢機卿任命を非難していたのです。ロレンツォは自分の顔を見て顔に紅を入れます。このような顔色でメディチ家の当主が人前に出るわけにはいかないと。

通されたピーコとサヴォナローラ。ピーコの見舞いに、長男のピエロを後継者として鍛えるいい機会になったよ、とあくまで余裕を見せるロレンツォ。ピーコはロレンツォの尽力で教皇庁からの破門を解かれた経緯があり、ロレンツォの主催する人文主義者のサークル・アカデメイアのメンバーでもありました。

そしてサヴォナローラに語りかけるロレンツォ。立場は違えどフィレンツェを思う心は同じ、というロレンツォに、サヴォナローラはそれが神の御意志とあらば喜んで従いましょう、あなたに神の祝福があらんことを、と答えます。(ちなみに、ロレンツォが死に際してサヴォナローラに罪を告白したと言う伝承があるそうです)

しかし夕方から病状が急変したロレンツォは、長男ピエロにうろたえるなと命じ、また寝入ったあと、ジョヴァンニの夢を見たと言います。ジョヴァンニは教皇の姿をしていたと。(実際、ジョヴァンニは1513年に教皇になっています)側近のポリツィアーノが聖書を読む中、ロレンツォは静かに息を引き取ります。フィレンツェの街の向こうに、大きな星が堕ちて行く描写が凄いです。

急使がピサに走り、チェーザレのもとにロレンツォの死が伝えられます。巨人の死に愕然とするチェーザレ。一方ローマにいるロドリゴのもとにはロレンツォの死とそれに伴うフィレンツェの混乱が伝えられます。そして枢機卿になったばかりのジョヴァンニが度を失ってフィレンツェに帰ると主張していることがロドリゴのもとに伝えられます。

親族のオルシーニ家の屋敷にいるジョヴァンニは、アンジェロたちが止めるのも聞かず、フィレンツェに帰ると取り乱しています。教皇特使になるまではローマを離れるわけにはいかない、という側近のヤコポ。そこにロドリゴがやってきます。若くして叔父と兄を亡くした自分には父を亡くしたソナタの気持ちは痛いほど分かる、というロドリゴ。しかし、教皇のそばでひと月は修行し、特使に任命されなければならない、というロドリゴ。しかし、気持ちの整理がつかないままでは務めもままならない、一目お別れをさせてくれと言うジョヴァンニにロドリゴは、甘ったれるでない、ロレンツォの魂はすでに天に召されたのだ、まずそなた自身の向上に務めることが父への恩返しになるのではないか、と説得するのでした。

美しい描写に、重ねられて行く歴史上の事実を、人間ドラマとして描き出して行く筆の冴え。これだけの作品を描くには、さすがに週刊連載をずっと続けるわけにはいかないと思います。次回の掲載は8月7日発売の36・37合併号だそうです。ジョヴァンニの決断を、楽しみに待ちたいと思います!
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