個人的な感想です。

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リヴァイ兵士長が表紙の『FRAU』8月号で『進撃の巨人』特集を読みました!


FRaU (フラウ) 2014年 08月号FRaU (フラウ) 2014年 08月号
(2014/07/11)


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リヴァイ兵士長が表紙の『FRAU』8月号で『進撃の巨人』特集を読みました!

講談社の女性誌『FRAU』に『進撃の巨人』特集が組まれていたので、買ってみました。実は昨年も作者の諫山創さんがこの雑誌でインタビューを受けていたそうなのですが、その時は女性誌ということもあり、買っていなかったのです。しかし今回は表紙がリヴァイ(アニメのリヴァイではなく諫山さんの絵です)ということもあり、また書店のマンガ・アニメ雑誌のコーナーに置いてあったこともあって、(笑)買ってみました。

今回の特集はもちろん、『進撃の巨人』の中でも特に女性に人気の高いキャラクターであるリヴァイを取り上げる、ということがメインです。付録に表紙と同じ絵柄のオリジナルクリアファイル(A4サイズ)がついています。別冊マガジンの付録のクリアファイルは雑誌の大きさもありますがB5になってしまうので、今回のA4のクリアファイルは嬉しいですね。

表紙のリヴァイは社長椅子みたいなのに座って遠藤浩輝さんのマンガ『オールラウンダー廻』を読んでいます(私は読んだことないのですが)。白いシャツに黒いズボン、素足に黒い靴を履いています。椅子の下には本がたくさん積んであって、吉田修一さんの『悪人』や池辺葵さんの『どぶがわ』の背表紙が見えます。諫山さんが読んだ本なのか、リヴァイが読みそうな本なのか、編集部の指定なのか、はよくわかりませんが、どうもこの『FRAU』8月号の特集で取り上げられている本やマンガのようでした。(『オールラウンダー廻』は諫山さんの指定のようです。総合格闘技「修斗」に挑む高校生たちの物語だそうです。諫山さんの格闘技好きが反映されているんですね。)

特集のメインは諫山さんのインタビューですが、一問一答のアンケートに諫山さんが答えると言う特集が2ページ。リヴァイの睡眠時間は平均すると2〜3時間だとか、調査兵団で一番酒を飲むのは「苦労が絶えない」モブリットだ、とかの話は可笑しいです。モブリットはハンジの副官ですから、原作を読んでる人には分かりますよね。

また「最終話の構想は出来上がっていますか」という質問に、「枠と筋は大体ありますがキャラがどう動くかは分かりません」と答えていて、なるほどなあと思いました。やはりキャラクターのダイナミックな動きがストーリー展開に影響を与えて行くのだろうなと思いますし、また「描いていて楽しいキャラ」はジャンとかユミルとかだ、という答えは、つまり本音を言いやすいキャラクターが面白いということでしょうし、またそこが何かを動かすきっかけになるのかもな、と思いました。今月号ではジャンの「マルロは信用できる」という直感が物語を大きく前進させましたしね。

またグロリアス星子さん監修の「星座が教えるキャラクターの本質」という企画も面白いです。諫山さんの各キャラの誕生日の設定が星座占いに会わせているのかは分かりませんが、リヴァイは「実力と権力を手にした山羊座は最前線で指揮を執る」とかミカサは「情を捨てて冷静な判断を下す。愛する人への執着は強い水瓶座」とか、なんというか、面白いなと思いました。

メインのインタビューは5ページ分。その中でいろいろなことを話されています。

たくさんあるスピンオフ企画については、「それぞれのクリエイターさんに進撃の巨人で遊んでもらっている感じ」とコメントされています。「進撃の巨人」は「ほつれ」のある作品だと。みなその隙を埋めたい、と言う気持ちがクリエイターさんたちに働くのではないか、と言われているのですね。

そう言うのは分かるなと思います。スピンオフとは少し違いますが、アマチュアや同人系の人たちの二次創作というのも「やおい」とか「BL」とか「薄い本」とか(それぞれの違いが良くわかりません・笑)の「妄想系」もありますが、「謎を解く」みたいな感じのものも多いですよね。「2ちゃんねる」を読んでいると別冊マガジンが発売直前になると毎回「次号の展開予想」、ネタバレを装った「ウソバレ」というのが話題になっていたりして、「みんなで進撃の巨人をもり立てて行こう、遊んで行こう」という盛り上がりがあって面白いなと思っています。

そのあたりのところ共関連することになりますが、諫山さんは最近プロとアマチュアについて考えるところがあって、日本のラップの文化について調べてみると「素人ですけど、何か?」みたいな、つまり「アマチュアであることを誇っている」ような部分があって、言葉を換えて言うと「自己評価の低さが誇りになる」ところがある、とコメントされていて面白いなと思いました。

なかなかその意味は分かりにくいところがあるのですが、タランティーノの作品のように過去の映画を自覚的にパクってくる、サンプリング文化というか、そう言うラップの世界のやり方に自分は案外近い、ということ。つまりこれは、「本当の意味でのオリジナルはもう不可能」という、作品論とかマンガ論とかでよく言われていることとも近いのかな、と思いました。

諫山さんの絵はプロっぽくないし、多分ストーリーの作りもそうです。そしてそこに味があるわけだし、ある意味アート指向だと言ってもいい。でもそれをそのままぶつければ大衆的な少年誌では上手くいかないから、それを編集の川窪さんが方向性を修正して(川窪さんはもともとメジャーマンガが好きなのだそうです)結果としてああいう作品になって出て来た、とことなんだなと思います。

でもそれを「アート指向」だと言わないで、「アマチュアっぽさ、自己評価の低さを誇りにする」と表現するところが諫山さんらしいんだなと思いますし、そこに物語が生み出されて行く原動力があるように思います。

また、「インタビューをたくさん受けるということについてどうとらえているか」という質問に対して、「これって面白いんだろうか」とか「これってありなのか」と自分で考えていることを話すことによって反応が分かるということは凄くありがたい、というのがなるほどな、というか凄いな、と思いました。漫画家に取ってインタビューというのは邪魔に感じる人は多いと思うのですが、諫山さんはそのときに考えていることや面白いと思っていること、興味のあることをわりとばんばん話していて、それに読者さんたちが反応して掲示板やSNSに描き、またその反応を見てなるほどな、と思っているんだなと思います。そう言うのを小出しにして反応を見てそれを作品に行かして行く、というのは、政治家がアドバルーンを揚げてその反応を見てから政策の方向性を決めて行く、というのに少し似ているな、と思いました。

またこの雑誌で取り上げられている「リヴァイ」という存在について、最初は落書きから始まったキャラで、落書きを描いた瞬間に性格が決まった、と話されています。そして、リヴァイが凄く女性に人気があることについて、「僕の中に女子感があって、自分の男らしくないところが女性の感性から読み取られているのかな」とコメントしているのがへええと思いました。つまり、自分の中の女性性から見てこういうキャラが素敵だな、というものを描いているということになりますよね。ということは、リヴァイが女性に人気があるのは結果ではなくて、もともとそう言うものを目指して描いているということなんだなと思いますし、それは私には意外でしたが、なるほどそう言うことは必要なんだな、とも思いました。「僕自身、リヴァイに魅力を感じていますし、描いていて楽しいキャラクターなんです」と言われています。

主人公のタイプには最初から強いキャラクターとだんだん強くなるキャラクターの二つがある、というのはその通りだと思います。後者では主人公の「成長」を描くことになりますし、エレンはまさにそうですが、「One Piece」のルフィなんかには両方の要素があったりしますね。リヴァイはもちろん前者で、「エレンが進むべき延長線上の姿がリヴァイだとすると、この作品の広がりの部分ということかもしれません」という言葉からは、この作品のある種の二極構造が見えて来る感じがしました。

諫山さん自身は寝るとき、以前は堅いところで寝ていたのだそうです。それは古代人が洞窟で暮らしていたからあえて堅いところを寝床にしていたというのを知ってそれを取り入れたのだそう(!笑)ですが、今ではソファで寝ているそうで、それは堅いところだと熟睡できてしまってよくない(笑)だからだそうです。うーんと思ってしまいました。やっぱり変わっていると言うか、興味深い方ですよね。

マンガ家としての意識の部分についての話で、諫山さんはある種のアマチュアリズムと言うか、その資質というものを自分なりにつかめたことによって、精神的に落ち着けるようになったのだそうです。それが諫山さんという人間が表現をして行く上でのコアのようなものになっている、ということなのですね。諫山さんの場合はそのコアが「ある種のアマチュアリズム」なんだ、というのは面白いと思いますし、そこに魅力の源泉があるのだと思いますし、だからこそ荒削りであることによって向こう側を覗ける感じが作品にあるのだなと思いました。

ではありますが、「作品を肯定的にも否定的にもとらえていい、受け手の見方はすべて正しい」という考え方を持っていて、それはつまり批判を受けたときに「じゃあおまえやってみろ」というのは禁句だ、と言うことなのだそうです。それはつまり、諫山さんはマンガを全く知らない人に読んでもらって楽しんでもらうことを目的に描いている、ということを強く自覚しているということで、このことについては「自分はプロなんだと思ってマンガを描いている」というのが力強いなと思いますし、諫山さんの表現者としての大きさ、懐の深さ広さを感じました。

諫山さんのインタビューは今までもたくさん読んで来たのですが、今回はまた切り口が違って、とても面白かったです。

ところで「FRAU」というのは女性誌ですので、私は買うのは初めてですが、今回が読書特集が多いということもあり、読んでいて全体に面白かったですし、「フラウマンガ大賞」で取り上げられていた池辺葵さんの『どぶがわ』はぜひ読んで見たいと思いました。他にはコーヒーとスイーツを組み合わせた特集があって、こういうケーキにはこういうコーヒーがいい、と言うのは参考になるなあと思いました。

というわけで、いろいろ面白かったです!
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