個人的な感想です。

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宇治谷順さん原作・向後次雄さん作画の『茗荷谷なみだ坂診療所』第704話「新たな道」を読みました!


週刊 漫画TIMES (タイムス) 2014年 7/11号 [雑誌]週刊 漫画TIMES (タイムス) 2014年 7/11号 [雑誌]
(2014/06/27)
不明

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(画像は感想を書いた対象の号ではありません)

週刊漫画Times8月8日号で宇治谷順さん原作・向後次雄さん作画の『茗荷谷なみだ坂診療所』第704話「新たな道」を読みました!

私が今定期購読している週刊誌は月曜発売の「少年ジャンプ」と木曜発売の『モーニング』、金曜発売の「週刊漫画Times」の二つです。ジャンプは「One Piece」が休載の時は買ってないし『モーニング』は「ピアノの森」が掲載されているとき以外は「Dモーニング」で済ませているので、毎週必ずコンビニで買うのは週刊漫画Timesだけと言うことになります。ちなみに月刊誌で買っているのは9日の『別冊少年マガジン』、19日の『コミックリュウ』、25日の『月刊アフタヌーン』、28日の『コミックゼロサム』の4冊です。

以前はモーニング、週刊漫画Times、コミックリュウと言ったどちらかというと読者の年齢層の高い雑誌を中心に読んでいたのですが、最近はジャンプやマガジンなどの「王道」に再び近づいてきた気がします。やはりマンガは子どもや若い人のものというか、夢があってワクワクする内容のマンガが人気がありますし面白いと言うことを、最近見直している感じがします。

ですからこちらのブログでもむかしはいわゆる「大人マンガ」の感想もかなりあったのですが、最近では大学生ぐらいまでの人が好んで読む作品が中心になってきた感じがします。一つにはそういう作品は人気があるので反響も多く、書きがいがあると言うこともあるのですが、もう一つは感想を書く際に背景説明をあまり書かなくても済むと言うことがあるんだなあと今「なみだ坂診療所」の感想を書こうとしながら思っています。やはり大人と言うものは、いろいろな背景を背負って生きてきた複雑な存在なので、たとえマンガの中とはいえ、背負っているものがいろいろあるんですね。ですからそういうことを整理しながら説明してそれに対して感想を書いていく、と言うのは実はそんなに簡単ではないんだなと思ったわけです。

主人公の女医・織田鈴香は「なみだ坂診療所」を預かっています。そのクールな性格で本質的に切り込んでいく性格は、味方も多いけれども敵も多い、と言う感じの女医さん。30代後半と言うところでしょうか。診療所で働いていた若い看護師の男性とロマンスになりかけたこともありましたが、今なお独身、と言うところです。

鈴香が診察室で患者の松下と話をしています。中年男性のすこし恰幅のいいタイプの男性。血圧の管理をしているようです。管理手帳を見ながら順調ね、と声をかけるのですが、しかし不審な点に気づき、「13日くらいの周期で同じ数値が出てくる」と指摘すると、松下は薬もちゃんと飲んでなくて、血圧もちゃんと測ってないことを白状します。日本人は薬の飲み過ぎで、血圧は気にしなくてもよいと週刊誌に書いてある、と弁解する松下。

鈴香は、血圧の上限値が上がったのは健康な人のみの集団で抽出したデータの話で検診で用いる疾患を判別する値が高くなったわけではない、と説明します。つまりすでに生活習慣病を抱えている人が血圧は高めでいいと言うのは勘違いだ、と言うわけです。また血圧はいろいろな条件に左右されるから安易に投薬すべきではないけれども、自分がそうするのは必要があるからだ、と説明します。

この辺りのところ、本当の意味での良心的な医師が、週刊誌の情報などに振り回される患者の対応に苦労している、ということについて書かれているわけですね。この作品が面白いのは、医療者の側から見て社会の状況がどう見えるか、と言うことが分かると言うことかなと思います。

そこに現れたのが鈴香が指導した経験があり、今も何かと鈴香を頼ってくる中江記念病院と言う大病院の研修医・西村医師。西村医師は、その指導する後輩の研修医・幸徳医師が、女性患者の「DNR=心臓や呼吸が停止しても心肺蘇生を行わないと言う患者の意思」を無視して夫に懇願されるままに心臓マッサージを試みたこと(結局亡くなってしまいましたが)を問題にされ、調査委員会にかけられたのです。

調査委員会の出席者は調査する側が院長、救急担当の室田医師、その他1名。調査を受ける側が幸徳医師と西村医師、そして指導医である矢部医師です。室田医師はDNRに積極的で、無駄な心肺蘇生を行うべきでない、たとえ家族が要請しても本人のDNRがあるのならCPR(心肺蘇生)は行うべきではないと言う原則を確認したはずだ、と研修医である幸徳医師を攻めたてます。

一方スタッフ医である矢部医師は、この人は西村に対して日頃辛く当たっているのですが、ER(救急)では患者に治る可能性があれば治療する、内科やナースの覚悟が問われていると言う室田に、矢部はDNRイコール治療拒否ではない、無駄な治療を拒否する、と言うことだ、といいます。矢部が何を言おうとしているのか読めない西村と幸徳でしたが、矢部は迷った結果CPRを幸徳に指示した、と言ったのでした。

つまりこの調査委員会と言うのは、研修医が独断でやったことが問題にされていたので、スタッフ医である矢部の指示でやったことであるなら問題にされなかったわけなのですね。矢部はそういう形で西村と幸徳をかばったのでした。

まさかかばってくれるとは、と矢部に感謝する西村でしたが、「俺はあの室田さんて人が何か性に合わんのだ!」という矢部なのでした。何だ、矢部先生の個人的都合じゃん、というナースの梢に、西村は「初めて矢部先生を指導医と認める気になった」と感謝を口にするのでした。この辺の大人の関係具合がまあなんというか、こういうこといちいち説明するの、まあ少年マンガの感想とは違いますよね。

幸徳はもともと僧侶だったのですが、妻を失ったときに医療のあり方に疑問を持ち、それから医師になったと言う変わり種なのでした。しかし研修医となって現場に来てみると納得のいかないことだらけ。そしてある患者につい感情的になって言ってしまったことを鈴香に非難され、医師をやめる気になっていたのでした。

もともと幸徳がCPRを行った笠木夫妻は、夫婦で検査入院に来て、その世話を幸徳が担当したのですが、その入院中に思わぬ事態が起こり、奥さんが亡くなってしまったわけです。退院した二人のベッドを無言で見つめる幸徳のもとに、鈴香が現れます。

「私の顔なんて二度と見たくないはずでは…」という幸徳に、鈴香は「そのセリフは今撤回する」と言うのでした。しかし幸徳は、「もう退職願は出したので、引き止めても無駄です。私は臨床現場で医師になりきれない自分の限界と違和感を感じていたんです」と言うのでした。幸徳はすでに医師をやめ、寺に戻ることを決意していたのです。

鈴香は、「あなたを引き止める気はない!」と言います。この辺りがクールな女医、と言うイメージなのですが、「笠木さんはあなたに感謝してた。お通夜でずっと付き合ってお経を上げてくれたんだって?一晩あなたと話し手ご主人、人が死んでいく意味について考える時間が持てたと言ってた、私からもお礼を言うわ。あなたがやめる前に感謝の言葉を伝えておきたかったの。ありがとう」と幸徳に取っては思いがけないことを言います。

鈴香は窓の外を見ながらいいます。

「私が医師を志した時代、医学の未来はバラ色で、21世紀にはほとんどの病気が撲滅される勢いだった。確かに昔なら諦めていたのに、今なら治る可能性が出てきた症例もある。でも逆にどれだけ頑張っても出来ないこと。限界がはっきり見えてきたこともある。延命を基本思想とする医学を学んだ医師でも命の限界を前に、無力だ」と。

今でもそういう人はいますが、医学の上でも、実際に「右肩上がりの進歩」で、「右肩上がりの未来」が信じられた時代もあったんだなと思います。しかし現代では薬付け医療やスパゲティ症候群、延命は是か否かと言った問題や膨大な医療費のかかる難病にどう取り組むか、果ては「神の領域」に踏み込むことへの問題が取りざたされる再生医療の問題など、以前では考えられなかった様々な問題が起こってきていることも事実ですね。そして、人は生まれたら死ぬ、と言うことだけは決して帰ることの出来ない真実なわけです。延命が医療の目的であるなら、医療は最終的には無力であり、0勝全敗の歴史が繰り返されてきたことになるわけですから。

さらに鈴香はいいます。「これからの医療現場は、あなたのような人の存在価値が出てくるかもしれない」と。つまり、「今際の際を迎えた患者や家族に寄り添い、必要な言葉を与えることの出来る、例えば臨床経験のある宗教家が」と。

確かに、いのちに携わる人たちの間には、基本的に大きなギャップがあることは事実ですね。医療者と宗教者の連携と言うのも、取れているとは思えません。むしろ「民間医療」と分類されるジャンルで活躍している人たちの方が、そういうことについてはしっかりした考え、というか患者に寄り添える考えを持っている、というケースが多いように思います。医療は患者のためのものであるはずなのにそうはなってないと言うのは、教育は生徒のためのものであるはずなのにそうはなってない、と言うのと似たような感じなのだと思います。

そういう意味でいえば、「臨床経験のある宗教家」や「いのちについて例えば宗教的にも突き詰めた考え方を持っている医師」というクロスオーバーな存在もまた、これから必要になって来る部分はあるのかもしれないと思います。

この作品は常に医師の側のスタンスで書かれているので、医師の本音のようなものが見えるのが面白いと思うところがあったのですが、今回はそういうことを思っている現代の医師も多いのだなと言うことを、考えさせられました。日々の激務に追われる医師の方々がみなそこまで考えを深めるのは難しいだろうとは思いますが、医療の世界もそういう意味でより高次元に進んでもらえるといいなあとは思ったのでした。
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