個人的な感想です。

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コミックリュウ10月号でふみふみこさんの『ぼくらのへんたい』27話「灰色の男」を読みました!


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(2014/08/19)


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コミックリュウ10月号でふみふみこさんの『ぼくらのへんたい』27話「灰色の男」を読みました!

『ぼくらのへんたい』、先日出た単行本6巻では25話まで収録されていますが、今回は27話。「女の子になった」まりかの話が続きます。

裕太まりかが性同一性障害の病院へ行き、しばらく休んでから学校側の理解も得てセーラー服で登校するようになり、自分の意志を実現させることができるようになってきている間、自分が好きな田村修=パロウのことを好きになったっぽい幼なじみのあかねとは、話ができないでいました。その間、田村と同じ塾に通っているあかねは、何も言ってくれない裕太まりかのことを心配して田村に話し、パロウあかねの目の前でまりかに連絡を取り、会う約束をして、まりかを喜ばせます。一方あかねはデートしてくれたり、そんなふうに自分を慰めてくれる田村のことが本当に好きになって、「私多分タムリンのことが好きなんだと思う」と告白してしまうのでした。

そして、パロウまりかが再び会って、まりかの話を聞き、パロウは驚きますし、また「強いのね」というのですが、そこでまりかは再びパロウに、「私やっぱり、パロウさんが好きなんです」というのでした。

26話はここまででした。27話はこの場面の続きからです。

告白(何度目だろう)したまりかは「し…しつこいですよね。自分でもちょっとどうかと思うんですけど、どうにもならなくて」というのですが、パロウの反応は今までとは違いました。

眉を八の字にして真っ赤になっているパロウ!これは可愛いです。(笑)何ていうか、ついにまりかの気持ちが通じたんだなと思うと、こちらが嬉しくなってしまいますよね。しかし、それにしてもつまりまりかは「女の子になる」ということと同様に、「パロウのことが好きだ」という自分を徹底的に貫き通しているんだなとも思いましたし、そういう意味で「恐ろしい子…」とも思いました。(笑)

まあ、「一途」ということもできるわけなんですけどね。

パロウはでも、一瞬そういう気持ちになってもそれで済むような素直な人ではありませんから、その気持ちを受け取ってしまって返ってそのまりかの素直なまぶしさに罪悪感のような、あるいは惨めな疲れた気持ちになってしまったのでしょう。また意地悪を言い出します。

あかねにも告白されたことを言い出すのです。それに対し、「あかねちゃんから聞きました。帰ったら話そうと思ってます」というまりか。この真剣な表情に、また新たな暗いストーリーを構築しようとしたのか、パロウは「幼なじみで仲がいい二人が争うなんて見物だね」と言い出しますが、まりかはそれを止めて言います。

「もうやめてくださいパロウさん。ほんとは何がしたいんですか」と。

また疲れた目になるパロウでしたが、まりかは言います。「そんなんじゃ私、嫌いになんてならないから」と。

ここでまたパロウの暗黒面が顔を出して言います。「何を分かったようなことを。じゃあその気持ち見せてもらおうじゃないか」と。

やってきたのはまりかの家でしょうか。二人はキスをし、そして、まりかの裸体。その尻に触れるパロウの手。まりかは脱がせても自分はワンピースを着たままことに及ぼうとするパロウでしたが、「やっぱりちょっとこわいです…」というまりかの言葉を聞いて、パロウは幼児期に親しかった大学生に犯されたときの記憶が蘇ります。詳しくは書きませんが、ここの描写は、なんというか、いろいろな意味で、こうなんだろうなあと思いました。小さいときの女装姿のパロウも可愛いのですが、それだけに痛々しさが募りますし、その記憶を思い出したパロウが吐き気を催してトイレに立ち、何度も吐いてしまう様子にパロウの苦しみの深さが感じられます。

謝るパロウに、泣くまりか。君のせいじゃないんだ、というパロウに「泣いてるんじゃありません!怒ってるんです!」というまりか。気圧されて「ごめん…」というパロウにまりかは、「パロウさんじゃありません。パロウさんをそんなにしたその人にです」と言います。「なぜ君が怒るんだよ」というパロウに、「パロウさんが好きだからですよ。パロウさんがかわいそう。かわいそうだよ…」というまりかでした。

この場面は、本当に涙が出そうになりますね。自分の暗い面を何度もまりかに見せてしまうパロウと、その苦しみを見て怒り、悲しむまりか。ここのまりかは本当に可愛いですし、また「自分の苦しみなど理解できるものか」という気持ちからことに及ぼうとしたパロウが、まりかのパロウのことが好きだという意志に圧倒されて、その苦しみさえ吸い取られて行きそうになる、その絶対的な意志の力のようなものを感じてしまいます。

まあこういうテーマだからではありますが、こういう場面では直接的な描写(入れるとか入れないとか)というものが主になるわけですけれども、なんというか例えば裸で抱き合う幸福感とか、肌が触れることの快感のようなものが、例えばこの二人に訪れるといいなあと思ってしまいます。そのときの相手が今の相手と同じかどうかはお互いに分からないけどな、とは思いますけれども。そしてまりかを脱がせながらも自分はワンピースを着たままにしているのは、無意識のうちに「センパイ」との情事を踏襲しているのかもしれないな、とあとで思いました。

場面は変わってあかねの家の近くの公園。まりかは先ほどと同じワンピースを来ているので、同じ日のあとの時間なんでしょうか。夕方みたいです。

あかねはいつものようにフランクに、まりかに「私こないだ告白したの。ちょー緊張した」と言ってます。大体相変わらず「裕太からうち来るなんてめずらしいね」と言ってますし。あかねにとっては男でも女でも「裕太」なんですね。この辺のところ、ともちとは対照的なところが面白いなと思います。

「私も告白したよ」という裕太。「ずっと田村さんのこと好きだったの」といいます。「え?え?えーーーー?」というあかね。「気づけよ!」とツッコミを入れたくなってしまいます。(笑)「何で言わないんだよー」というあかねに、「だって言ったらあかねちゃん気にするでしょ。それで好きになるのやめるとか言いそうだし。それだけはやだったんだもん」という裕太。このあとのあかねの真剣な顔もいいですね。

「何で言うつもりになったの」というあかねに「女の子になってもう一度会って気持ち確かめたら言おうって」思ってた、という裕太。心の中には、苦しんでいるパロウの姿が映っているのだな、と思います。そして、黙っててごめんなさい、というのでした。

ここからわりと平常バージョンのあかねに戻り、別に謝ることないでしょ、と言いますが、裕太は「でも私キスとかしちゃって」と赤くなると、あかねは鼻息あらく「裕太キスしたことあるの?ねえどんなだった?」と聞くので裕太は笑い出します。ごめんごめん、という裕太に、それですっきりしたのか、あかねは「話してくれてよかった!」と伸びをします。

あかねは本当に裕太のことを心配していたんですね。「いきなり連絡つかなくなるし、病院いく理由も教えてくんないし、私なんかしたのかと心配してたんだよね。ともちにも言われたけど鈍いしさ」と思いの丈をぶちまけるあかね。「そんなことないよ。あかねちゃんは何も悪くないの」と涙ぐむ裕太に「なくな」というあかね。平常運転です。「仲直りできたの」「…分かんない」「なんじゃそりゃ」肝心のところはまあ、そりゃそうなんですが。「ずっと黙ってたらすっっっごい怒ってたと思うなー(原文ママ)」というあかねですが、「ぜんぶゆるすからアイスおごって」「う、うんいいけど。それでいいの?」まあこの二人はこれでいいんでしょうね。(笑)

この辺のシリアスなリアリティに、あかねのキャラクターが醸し出すある種の幸福なファンタジーが入り交じってくると、本当にほっとしますね。

一方街を彷徨うパロウ。「怒ってるんです。パロウさんをそんなにしたその人にです」というまりかの言葉を心の中で繰り返しています。肩がぶつかってちっと怒っている通りすがりの男を見ていると、また「センパイ」からの着信が入ります。この入りも上手いなあと思います。

センパイ=渋谷龍彦はもう完全にダメダメな感じになっていて、引きこもってうわごとのようなことを口走り、「そんなとこ突っ立ってないでこっち来いよ」と言います。パロウはそれに対し、「嫌です。そんなひきこもりのろくに風呂も入らないような人のそばにいきたいわけないじゃないですか」と言います。キレたセンパイは「やんのか なあ?」と言いますが、対峙すると、明らかにパロウの方が身長が高く、体格もしっかりしていて、「今じゃ僕のほうが身長高いんですよ。自分で言ってましたよね。先輩」というパロウに、センパイは圧倒されてしまうのでした。

……正直言って、このセンパイというキャラは、私は全然眼中になかったんですよね。(まあファンタジーの対極ですしねえ。)でも第6巻の裏表紙がスウェット姿の上目遣いのセンパイで、これはかなり驚きました。余白ページもセンパイで、それもなんか描かれ方がヒドい。「好きなものカレー、睡眠、ネトゲ」名前は同級生から、というのはちょっとびっくりしましたが、「みんなから「クズ先輩」と呼ばれてます」とか、なんかもー、という感じなのです。でも、こういう風に取り上げられているのは1,2,3巻でまりか、ユイ、パロウ、4巻あかね、5巻はっちですから、つまりは彼ら彼女らと匹敵するくらいは重要なキャラクターなんですよね。

まりか、ユイ、パロウというのは、主人公たちであるわけで、そういう意味である種の複雑性を持っていて、揺れ動いているのですけれども、それを支えるあかねやはっちはわりとぶれないはっきりしたキャラクターなわけです。まあそういう意味ではセンパイもぶれません。(笑)そしてパロウの回想が正しい彼の気持ちを反映しているなら、「魔がさして」付き合い始めて転落して行った二人の関係だったわけです。センパイは引きこもり、パロウは心に闇を抱えながらも表面上は優等生としての自分を保ち続けていたわけです。

まあ正直、パロウはこんなやつと付き合わないといいなとか、あかねが現れて連絡するのをやめてよかったなとか思っていたのですが、まあなんというか、パロウにとってセンパイというのはある種の「決着」をつけなければいけない相手だった、ということなんでしょうね。

それがどんな決着なのか、まだちょっと分かりません。いやあどんなふうにも転びそうでなんだかなあ、と思います。今パロウが「好き」なのはユイなのだけど、やはり何か心の暗い部分で共鳴して付き合うようになり、「ホモじゃない」センパイ(他校生を妊娠させた過去もあるくらいですから)に女装したまた抱かれるという関係を続けてきた、つまりある意味センパイを自分が関係に引きずり込んだ、という面がパロウにはあるわけで、その辺りをどんなふうに決着を付けるのか、なんだか良く見えてきません。というか私はこのセンパイをシカトし続けてきたので(でもロマンチストで斜に構えていてある種天然で女にもモテるタイプだと思うんですけどね。あまりにダメダメだからつい無視していたわけですが)ちょっとつかみきれない感じもあります。

この作品もここに来てファンタジーというよりは「まりかの意志の物語」みたいな様相を呈してきている部分もあり、その転換に最初は上手く乗れなかったのですが、最近ではこの「意志の物語」ももっともっと先が読みたいという感じで、凄く入り込んできています。今月は出てきませんでしたが、ユイがどうしてるのかなー、と思ってしまいますが。

こうしてじっくりと向き合ってみると、一読したときの感想より、もっと本当に深いところの心理描写のようなものが見えてきて、改めて感動してしまいます。まりかやユイ、パロウの今後も気になりますが、作品としてのこの先を、読みたい、知りたいという気持ちがとても強くなって来るのでした。
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