個人的な感想です。

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堤谷菜央さんの『人生は二日だけ』(リュウコミックス)を読みました!


人生は二日だけ (リュウコミックス)人生は二日だけ (リュウコミックス)
(2014/02/13)
堤谷菜央

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堤谷菜央さんの『人生は二日だけ』(リュウコミックス)を読みました!

私がこの本を見つけたのは、横浜の西口地下の有隣堂のコミックコーナーでした。少しだけ読めるお試し本を読んでみて、すごく引きつけられるものを感じて買ってみたのでした。買ってみたらいつも読んでいたコミックリュウでデビューした作家さんだということが分かり、やはりすべての作品に目を通しているわけではないので、単行本になるとこれだけ印象の強い作家さんも読み落としてしまっているのだなあとちょっと反省、という感じになったわけです。

今雑誌掲載分を読み返そうと思っても、掲載されていた号はもう処分してあって残念ながら読み返せないのですが、それぞれ強烈な印象のある作品だなと思います。

全部で6話収録されているのですが、今回は第1話を少しと第2話を紹介したいと思います。

第1話の表題作・『人生は二日だけ』は姉と二人暮らしの男の元に何もない空間から突然姉を訪ねて現れた少女の話。姉は留守で、7歳の少女は何も知らず、わけも分からず男は寝かしつけますが、目覚めたら消えているだろうと思った少女は消えてもおらず、もともと子供好きの男は名前がないという少女に七歳だからと「なな」という名前を与え、ご飯を食べさせたり服を買ってやったりするのですが、いちいちその度に少女は「神様みたい」といってすごく喜ぶのです。

しかし「これからもいいこと沢山あるって」という男のことばには少女は黙りこくってしまいます。七年前、少女に何があったのか。そして少女はどうなったのか。その辺りは、本編を読んでいただきたいと思います。

この話の結末はとても重い話なのですが、この作品を描いて、そしてそれを表題作にしたということ自体に、作者のある決意のようなものを感じます。その決意の深さが、フィクションの枠を突き抜けて、私たちに迫って来るように思います。

第2話「兎の生る木」は、死んでしまった兄の霊が憑依している少女・高原小夜の話。自分が不得意な数学の試験を兄の力で解くなど便利?なところもある憑依で、少女は自分に兄が憑いていることを知っていますので、兄の死も悲しく感じていないのです。兄の霊はお葬式のときに、少女が「ずっと一緒にいてあげる」と手を差し出したことで少女に憑いたのでした。

ある日、同じクラスの少年佐藤が、飼っていた死んでしまった兎の骨をブレスレットにしていて、先生に呼び出されてしまうのですが、「死んでから一人にさせておくのがかわいそうだった」という少年に、少女は共感を感じます。

しかし少女は親しくしていた美容師の女性が亡くなったことを聞いてショックを受け、その帰り道に危うく車にひかれそうになったのをきっかけに、その衝撃で死がとても怖くなってしまうのでした。死んだら一人になってしまう、という観念に取り憑かれ、しばらく家に引きこもっていた少女。

しばらくして少女は少年を訪ね、「私死のうと思う。それでどうやって死のうか考えたんだけど、佐藤くんのウサギがとても羨ましくなって」というのです。少年は「僕に殺してほしいってことなの」と尋ねます。うん、という少女。少年が冷静になりなよ、と言っても、殺してくれないなら自分で死ぬ、という少女に、少年はついに「それなら僕がやる」と少女の首を締めるのでした。

その気が遠くなった夢の中で少女は、10年間一緒に過ごした兄と会話します。一緒にいこう、と手を差し出す兄に、「あの日手を差し出したのは、お兄ちゃんのためじゃなかったの。私寂しくて怖かったからやさしいふり…」と言うと、「お前が寂しいと思ってくれることが大事なんだよ」と言って、兄は一人で行ってしまうのでした。

目が覚めると、少年は寝たまま泣いていて、少女もそれを見て涙をこぼします。文字通り憑き物が落ちたようになって、兄は少女から離れて行ったのです。そして墓参りに行った少女は初めて兄が死んだことを寂しいと思うのでした。

少年は、兎の骨を庭に埋める、と言います。君が二度と変な気を起こさないように、と。少女は想像します。その兎の骨から一本の木が芽吹いて、何匹もの兎が遊ぶ木の下で、子供たちが遊ぶ情景を。

あらすじを読んでいただいただけで、この作者が「ただ者ではない!」ということは十分に分かっていただけると思います。絵は「達者」という印象ですし、大島弓子さんのような昔の少女マンガのような作風も感じられ、ギャグもあり、しかしその中で心の中の未解決な部分をとにかく作品にしようと言う気迫というか執念のようなものをこれらの作品には感じるのです。

少女マンガというものはある意味こういうものだったよなあ、ということを思い出させてくれ、ある意味少女マンガの王道を行く、絵柄は70〜80年代風でも内容は2010年代的、な感じも強く、いろいろな意味でバランスが取れているようでひどくアンバランスでもあり、超時代的な感じもします。

コミックリュウの「龍神賞」というマンガ賞で初の金龍賞を受賞、審査員の吾妻ひでおさんと安彦良和さんに絶賛されたというのは、お二人の作柄を考えても良くわかる感じがしますが、しかしそういうものを越えた恐るべき個性という感じでもあり、コミックリュウの読者でありながらこれらの6編をすべて見逃していたというのは本当に目が節穴だったとしか言いようがない、という感じなのです。

これからどういう作品を描いて行かれるのか、ある意味ちょっと見当がつかないようなところがある(それが本当に前衛的ということかもしれませんが、ご本人は本当に大変だろうなあと思います)のですが、今度は見逃さないよう、情報アンテナを張っておきたいなと思うのでした。

蛇足ですが、巻末に作者からのメッセージがあったのでご紹介しておきます。すべての作品に、ハワイという文字ないしはハワイの島や山の名前がこっそり書き込んであるのだそうです。(笑)第1話には「古着・ほのるる」という店が出てきて、第2話には「街の美容室OAHU」というのが出てきました。堤谷さんの作品を読まれる方は、そういう楽しみ方もまたされてみるといいのではないかと思いました。

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