個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Dモーニング41号で惣領冬実さんの『チェーザレ 破壊の創造者』第95話「帰郷」を読みました!


チェーザレ 破壊の創造者(10)チェーザレ 破壊の創造者(10)
(2013/04/26)
惣領 冬実、原 基晶 他

商品詳細を見る


Dモーニング41号で惣領冬実さんの『チェーザレ 破壊の創造者』第95話「帰郷」を読みました!

ルネサンス時代、ちょうどコロンブスがアメリカを発見し、スペインがレコンキスタを完成させた1492年現在のイタリアを現在舞台にしている『チェーザレ』です。ルネサンス時代は塩野七生さんの小説で日本でも注目されるようになりましたが、政治史的には小国同士のつばぜり合いの続く離合集散・権謀術数の時代だったのですね。

なかなか人間関係も複雑なので、とりあえずWikipediaなどを使いつつ人物表をつくって整理してみてから感想を書こうと思ったのですが、それだけでけっこう疲れました。(笑)

しかしマキャベリが『君主論』を書いた、この政治学の古典の背景となった時代ですから、政治について様々な示唆のある時代だともいえるでしょう。

そんなことを考えながら感想を書いてみたいと思います。

舞台は1492年初め。フィレンツェを統治していたロレンツォ・デ・メディチが亡くなります。ロレンツォはフィレンツェの重鎮だっただけでなく、フィレンツェがナポリとミラノを結びつける三国同盟の要でもありました。また、チェーザレ・ボルジアの父であるロドリーゴ・ボルジア枢機卿にとってもミラノはボルジアを支持する有力な枢機卿・アスカーニオ・スフォルツァの出身地(当主のイル・モーロはアスカーニオの兄)でもあり、フィレンツェとの同盟関係は重要でした。

しかしロレンツォの死により、その関係は崩れ始めます。後継者となった長男・ピエロはナポリとの関係を保ったままミラノとの関係を解消する方向へ動いたのでした。

さて、今回の冒頭は、そんなピエロの弟・ジョヴァンニ・デ・メディチ枢機卿がついにフィレンツェ教皇特使に任命される、という場面からです。教皇インノケンティウス8世の前でその詔書を読み上げているのはボルジア枢機卿です。ジョバンニは頭は悪くないものの気が弱く、優しいところのある性質なので、父の死に激しいショックを受けてすぐにでもフィレンツェに帰ると言い出したのですが、ロドリーゴに引き止められ、ようやく帰らずにいられたのでした。当時のジョバンニに取って重要なことは、教皇から『フィレンツェ教皇特使』に任命されることだったのです。教皇特使とは教皇の全権大使であり、教皇の代理として様々な判断を下す資格を持った要職であり、ということはジョバンニはこの任命によってフィレンツェで「教皇の代理人」として振る舞うことができるようになった、ということを意味しているわけです。

ジョバンニはロドリーゴ(ボルジア枢機卿)とアスカーニオ(スフォルツァ枢機卿)に感謝を伝えますが、実はすでにメディチ家と彼らは微妙な関係になっているわけですね。二人はジョバンニを見送りつつ、「彼が故郷に戻っても以前とは異なった場所になっている」と言います。ロドリーゴはジョバンニがピエロの暴走(ミラノやボルジアからの離反)を食い止めるかもしれない、という希望的観測を述べますが、アスカーニオは「兄弟の絆が障りとならなければ良いのですがね」と言います。アスカーニオはスフォルツァ家でガレアッツォとルドヴィコという二人の兄がいて、ミラノ公を次いだガレアッツォの死後その子ジャン・ガレアッツォからルドヴィコ(イル・モーロ)が実権を奪っているという事態と自分との関わりについて何か思うところがあったのでしょう。何かいきさつがあるのかもしれませんが、その辺りはきちんと単行本を読んでいるわけではないので良くわかりません。

一方教皇は午後の政務をロドリーゴに任せたいとの意向を伝えます。それを聞いて二人は「今年の夏がさすがに限界かもしれん」と言います。もし教皇が亡くなるようなことがあれば、教皇選挙(コンクラーベ)となるわけです。そして二人はその有力候補でもありました。

一方ジョヴァンニはお付きのアンジェロ(この作品の語り手の一人)とフィレンツェ帰還について話していますが、そこにボルジアと敵対するローヴェレ枢機卿が現れます。ローヴェレ枢機卿は前教皇・シクストゥス4世(後にミケランジェロの壁画で有名になるシスティナ礼拝堂をつくった教皇)の甥に当たり、教皇庁でも華麗な経歴と人脈を持つ有力候補でもあります。ローヴェレはジョヴァンニに教皇特使就任おめでとうといいますが、礼を言うジョバンニに「私は何もしておらぬ」と意地悪をいいます。ジョバンニは下を向きそうになりますが、尊敬する諸先輩方の所作政務を見ているだけで大変ありがたかった、と言い返し、ローヴェレをやり込めます。アンジェロはその立派な態度を褒めますが、ジョバンニは実は半泣きでした。しかしアンジェロに褒められて元気を取り戻します。

アンジェロは、ジョバンニについてローマに行く際、サピエンツァ大学ピサ校の同窓でもあるチェーザレ・ボルジアにローマの様子について書き送る約束をしていました。それはチェーザレの情報源になるということでもあるわけですが、チェーザレに心酔する気持ちのあるアンジェロは、それを引き受けたわけです。ちなみにジョバンニや、あとで出て来るミゲルも同じ年の同窓という設定です。

アンジェロの手紙は、ジョバンニの教皇特使任命とフィレンツェへの帰郷、ボルジア・スフォルツァ両枢機卿への支援の感謝、ボルジア枢機卿と父ロレンツォ・デ・メディチとの縁の始まりなどについて書くとともに、チェーザレの父・ボルジア枢機卿の教皇庁での立ち位置が重要なところにいる、と報告します。そしてその原因は侠気や気さくな性格にある、との分析もしています。

一方ライバルであるローヴェレ枢機卿はけっこう嫌われ者であり、自身が後ろ盾となった教皇からも煙たがられていて、もともと育ちがいい枢機卿たちの中では激しい気性が敬遠されていると言います。しかし決断に急をよする場合には彼のような強い意志と覚悟が時には必要である、とも書いています。そしてそのローヴェレの取り巻きとして、ポルトガルのダ・コスタ枢機卿、ヴェネツィアのミキエル枢機卿があげられています。ローヴェレはナポリとナポリ軍を率いるオルシーニ家に恩を売ろうという考えもあり、教皇庁の軍事は現在ヴェネツィアが握っているということもあって、教皇選挙のためには両国を天秤にかけようという姿勢なのでした。良くも悪くもここは伏魔殿だ、とアンジェロは書いています。

一方ピサにいるチェーザレは引っ越す準備をしています。フィレンツェでピエロと会見してミラノとの関係を断つ、すなわちボルジアとも一線を画すと言う意思を確かめてきました。また特に心に引っかかったのはピエロが民衆を信頼していないということでした。チェーザレは、考えるところがあるようです。もちろん「悪い方向へ行った」ことは承知しているのですが、チェーザレはピエロとフィレンツェに帰還したジョバンニがどのような判断をしても彼らを責める気にはなれん、と言います。それは彼らがロレンツォという父を失ったからで、自分はまだ父の庇護下にいる、という自覚からでした。ロレンツォのように中庸を保つことがいかに難しいか、ということを知った、とチェーザレは言い、ボルジア家の所有するピエンツァの別荘へ向かうのでした。

一方ジョバンニとアンジェロはフィレンツェに帰還してロレンツォの墓所に参詣し、ピエロと再会します。しかしジョバンニが教皇特使任命もボルジアとスフォルツァのお陰、というのを聞いて微妙な顔をします。アンジェロは帰宅を許されて久しぶりの我が家(母方の実家で石工)へ帰ろうとしますが、途中でロレンツォ・デ・メディチの死について「神の怒りに触れた」と話し合ってる市民を見ます。それに腹を立てたアンジェロですが、そこに突然現れたミゲル(チェーザレの腹心)に止められます。

ミゲルは現在のフィレンツェ、特にメディチ家の状態は微妙で、ボルジア側の自分とジョバンニ側近のアンジェロが話をしていること自体まずい、と言います。するとアンジェロは自分の家に行こう、外国人が出入りしているから怪しまれない、と言います。ミゲルはアンジェロが「誰かさんに似てきたな」と思います。

ミゲルはアンジェロの家で歓迎され、アンジェロの自室で話を聞きます。ミゲルはピエロ・デ・メディチがミラノとの関係を解消する積もりだということを話します。アンジェロはジョバンニがスフォルツァに世話になったことから信じられないといいますが、ミゲルはミラノとボルジアを裏切る決断をしたのだ、と言います。

腹を立てるジョバンニですが、ミゲルは冷静にピエロは今のメディチに取って必要な選択をしただけだ、と言います。そしてそのためにフィレンツェ市民が不安を抱えているということも。ロレンツォが死の間際にサヴォナローラを呼び泣きながら告解したという噂まである、と。

そしてチェーザレは失望してピエンツァに引きこもっている、と言いますが、アンジェロは信じられない、と言います。それならなぜミゲルがフィレンツェにいるのか、と。

ミゲルは、アンジェロがローマへ行ってずいぶん鋭くなったな、と笑います。ミゲルは、自分がチェーザレの名で来ていることを肯定します。ボルジアはすでにメディチを敵と見なし、チェーザレをピエンツァに移した、と。ボルジアが関心があるのはすでにメディチではなく、フィレンツェ市民がメディチの新体制をどこまで許容し、それを受けて政庁がどう動くか、を見に来たのだ、というのでした。

これはアンジェロに取って青天の霹靂であるだけでなく、ジョバンニにとってもそうでしょう。ジョバンニとアンジェロがこれからどう動くか、ということもありますし、サヴォナローラの動きも気になります。

もちろんこの作品は史実に基づいていますから、歴史の大枠としてこれからどんなことが起こるのかは調べれば分かることですが、作品の中でひとりひとりの心情や判断、ものの見方の動きなどがどう変わって行くかということについては、作品を読んで行くしかありません。特に気になるのはジョバンニとピエロの兄弟なのですが、次回は10月16日発売号掲載ということで、楽しみにしたいと思います。
スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

プロフィール

kous377

Author:kous377
FC2ブログへようこそ!

最新記事

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。