個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

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松田奈緒子さんの『重版出来!』4巻を読みました!才能と努力と売り上げ、そして信頼関係。


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(2014/09/30)
松田 奈緒子

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松田奈緒子さんの『重版出来!』4巻を読みました!才能と努力と売り上げ、そして信頼関係。

月刊スピリッツで連載の『重版出来!』、私は評判になってから読み始めたので3巻までは単行本が初めてだったのですが、4巻該当部分は連載誌が気になり始め、読んだ部分と読んでない部分があってちょっと間が抜けている不全感がありました。この巻は第19話から24話、連載誌では5〜10月号に当たるのですが、私は20話と21話を読んでいませんでした。

で、単行本を読んでみると、この2回が凄かった。(笑)

連載時に感想を書いた部分もありますので、主にこの2回分の感想と全体的な感想を書いてみたいと思います。

お話は、「週刊バイブス」というマンガ雑誌の編集部。主人公は元柔道日本代表の新人編集者・黒沢心です。

19話は新人作家の東江が担当編集になった安井に振り回され、安井に連絡を取れない東江が思いあまって元担当の黒沢心に電話して分からないところを尋ね、何とか乗り切る話。新人で右も左も分からないのに過大な要求をされ、「夢が叶うってこんなに辛いんだ」と苦しむ東江の姿が印象的でした。

20話は安井が「必ず作品は当てるが結果的に新人を使い潰すことになることも多い、土日は必ず休むタイプの編集者」に人が変わったきっかけ、バイブス編集部に移る前に雑誌「FLOW」が廃刊になった5年前の出来事についての話です。FLOWには現在バイブス編集長の和田が副編集長で、安井がデスク、現在フリーの菊池も社員の編集部員として所属していたのでした。

当時の安井は売れっ子作家の加藤を口説き落としてその担当をし、土日も休まず熱心に仕事をして家庭も顧みないタイプの編集者だったのですが、雑誌がつぶれたために信頼関係も崩壊、加藤から「顔も見たくない」とまで言われて「とにかく数字を出す」「雑誌を潰さない」ことに専念するようになったのでした。この辺りの「編集者の悲しみ」みたいなことが凄く印象的です。この世にないものを作り出す作家ももちろん大変なのですが、それを「売れるもの」に作り上げて行く、編集者も編集者ならではの喜びもあれば苦しみや悲しみもある、ことが良くわかる一編だったと思います。

21話は脅威の新人、ストーリーでは化け物並みの力を発揮しているのに絵が下手すぎて連載が取れない中田伯を中心にした話。担当編集者の黒沢は中田から11冊ものネームを書いたノートを手渡され、その凄さに改めて戦慄し、連載を取りたいと思います。

また中田がアシスタントをしている御蔵山のチーフアシである沼田も一人で残業しているときについそのネームノートを読んでしまい、そのあまりの凄さに心をわしづかみにされてしまうのですが、ここの描写が実際にノートから太い手が伸びて沼田の肩をつかんでいて、凄い迫力がありました。

読んでいる沼田自身が作品のコマの中に引きずり込まれてしまい、そこから必死に現世にもどって来ようとする、もがいている場面の迫力。沼田はそこにあったインクツボを手に取り、ノートに向かって投げつけてしまいます。

沼田自身は伸び悩んでいて、そろそろ実家に帰れとも言われていて、でも夢を捨てきれない、という時でもあったので、中田伯の圧倒的な才能に心底戦慄してしまうのですね。

しかし、混乱した沼田がノートを汚した姿を、廊下から御蔵山が見ていたのでした。

第4巻は20話が安井の話であることをのぞけば新人の中田と東江の話が中心なのですが、21話以降の中田の話はむしろ沼田の話になってきていて、中田という天才の才能を最もよく理解できる沼田の心の葛藤から、最後に中田が自分のネームを見て泣いてくれたことにより、マンガに対しあきらめがついて郷里へ帰って行く、というストーリーになっていて、才能というものの残酷さ、映画『アマデウス』のモーツァルトの才能を誰よりも理解した平凡な宮廷音楽家サリエリの話を思い出させるものがありました。


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「才能」と「努力」と「売り上げ」。まあ言えば、「大衆的なもの作り」というのはそれに尽きるわけですが、やはりそこに「信頼関係」というもう一つの要素が入って来なければそれも寂しいことになる。もの作りの現場というのは「才能」というファンタジーに満ちてもいるけれども、「売り上げ」という絶対的な数字の存在するリアルで残酷な現場でもある。売り上げを出せなくて切り捨てられて、あるいは切り捨ててしまった経験から、売り上げを出すために切り捨てるポジションに回る、と言う選択。ファンタジーの部分での「才能をめぐる戦い」もあれば、努力の部分の「自分との戦い」もあり、リアルの部分の「売り上げとの戦い」もある。夢のような信頼関係が一瞬にして消え去る苦さもあれば、才能に対する限りない憎しみがそれを認めてくれた小さな喜びに変わり、それをそれこそ自分自身の夢の墓標にして現場を去る者もある。

もの作りの現場に携わる人たちの多くが、共感を覚える作品だろうなあと思いました。

***

『個人的な感想です。』おかげさまで、9月は合計9万アクセス突破、一日平均3000アクセスを越えました。これも読んで下さるみなさまのお陰と、心より感謝しております。

運営方針に付いて考えていることもあるのですが、その辺りはまたまとまりましたらこちらで告知したいと思います。これからも「個人的な感想です。」をよろしくお願いします。
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