個人的な感想です。

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Dモーニング44号で竜田和人さんの『いちえふ』第11話「ギターを持った作業員」を読みました!


いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)
(2014/04/23)
竜田一人

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Dモーニング44号で竜田和人さんの『いちえふ』第11話「ギターを持った作業員」を読みました!

この作品は「モーニング」に新人賞で掲載され、そのまま連載となり、あっという間に単行本まで出た異色の作品。何しろ、福島第一原子力発電所で実際に事故収束の作業に当たった作業員の方が描いた作品なので、発表当時から大きな反響を呼びました。私もモーニング本誌でずっと読んでいますし、原発事故以来原発をめぐる大きな構図が政治問題として取り上げられて来る中で、現場で働いている人や地元の人たちがどのような状況にあるのか実際には分からず隔靴掻痒の思いをしていた中で、実際に原発所内や建屋内での作業に携わった方が匿名で描かれた作品なので、当然ながら大きな関心を呼んだわけです。

そしてその中で分かってきたことは、当たり前なのですが、そこで働いている人たちも普通の人間であるということ。そして厳しい線量管理、一日に浴びていい被曝量と1年で浴びていい被曝量が決まっていてそれを超えそうになったらもう働けなくなると言う条件があり、素人でもできる作業もあればやはり熟練した技術が必要な作業もあるということ、防護服の中の殺人的な暑さとか作業員やそこで働く人、あるいはそこに出入りする自動車に対して忌避する傾向があったりなど、様々な人間模様もあるということなど、やはりどんなに厳しい状況の中でもそこにあるのは人間の世界であり、様々な不安や希望、真摯さや偏見、その他あまりに人間的なものが渦巻く職場であり状況であるということでした。

竜田さんは2012年に1F(福島第一)で働いた経験を元にこの作品を描いたのですが、今年(2014年)は再び何度か1Fへ行って働いているのだそうです。

さすがに事故後3年半経って、当時よりは工事も進んでいて、3号機の原子炉建屋も上部鉄骨瓦礫が撤去され、だいぶ見た目も変わってきているのだそうですが、保安上の配慮もあるということで詳細はまだ描けないのだそうです。そのあたりは公開された情報の範囲内でないとまずいところはあるでしょうね。

マンガが発表されてから再び働きに行ったということで、実際に会ったことがあったり友達だったりする人から『作者』にメールが来ても知り合いだということを明かせないケースもあって心苦しいと思ったり、またこの作品を描いていることがバレたら1F出入り禁止になるのではとびくびくしていたりもしたのだけど、結局そんなに「作者探し」みたいなことが行われている形跡もなかったのだそうです。

竜田さんは個人的にギターを弾いて歌うのが好きで、それにまつわる話が今回は2つ紹介されていました。

一つはいわきのライブバーのお話。2年前になじみになったこのバーは、プロの人も来たりするのだそうですが、竜田さんはそこでド演歌を歌っていたのだそうです。このバーではフォーク・ロック・オリジナルを歌う人が多い中で「兄弟船」とかを歌うとバカウケだったと言うことです。

そしてそう言う活動をして分かったことは、福島は音楽県だということ。ジャンルを問わずアマチュアの音楽活動が盛んで、学生の合唱コンクールでは毎年のように金賞を獲得したり、あちこちの街で多くのミュージシャンによる街頭ライブイベントが行われていたりするのだそうです。

もう一つは、原発事故で避難している人たちの住む仮設住宅のサポートセンターなどでボランティアの慰問に訪れていたこと。地元の灯台を舞台にした美空ひばりの「みだれ髪」や、沼尻軽便鉄道をモデルにした岡本敦郎の「高原列車は行く」などをうたって大受けだったと言う話など。

竜田さんとしては、作業員として1Fで働くことと、流しとしてこういう場所で歌うことは、同じくらい心の中での重さを占めていたことなのだそうです。以前はびっしりと埋まっていたボランティア行事も、今はめっきり減ってしまい、文字通り「震災の風化」が進んでいるのだということでした。

そして多くの人が思っている最大の希いは、「ふるさとに早く帰れますように」ということだそうで、いくら1Fの作業が進んでもそれが何とかなるわけではない、ということもまた重い事実だということでした。

自分は自己満足でこの活動をやっているに過ぎないし、それで被災者の心に寄り添うなんてこともできないだろう。1F作業員としても単なる期間工に過ぎず、契約が終われば首都圏に帰るよそ者なのだと。

でも自分は、これからも勝手にこの地に関わり続けるだろう、願わくはみなが自分の望む場所に帰れる日まで、と思ったのだそうです。

原発事故についてはいろいろなことをいろいろな立場からいう人は沢山いますが、実際にそこで働いてみてその中からの実態を知りたいと思い、実際にそう行動する人というのはそうはいないでしょうし、またそれを表現に結びつけて行こうという人もそうはいないと思います。ですからそのことだけでも、この作品は凄い作品であり、『読まれるべき作品』なのだと思います。

原発に関しては反対派から推進派、福島での生活や農産品に付いてもいろいろな意見があることは確かなのですが、少なくとも一度はこういう中で働いたことのある人の話をマンガという形でも、耳を傾けてみてもいいのではないかと思うのでした。
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