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灰原薬さんの『応天の門』第2巻を読みました!(2)名探偵・菅原道真という感じでした!


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(2014/10/09)
灰原 薬

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灰原薬さんの『応天の門』第2巻を読みました!(2)

第7話と8話、(1)の藤原高子の話の続きです。女房・筑紫が怪異を見たという事件により、叔父の良房、兄の基経の手によって異母兄の国経・遠経らに護衛という形で幽閉されてしまった高子は、密かに在原業平の元に使いを送り、窮状を訴えます。しかし高子との「過去」のある業平は動くことができません。

そこで業平菅原道真の屋敷を尋ね、協力を求めます。道真は文章得業生の試験に向けて勉学に励んでおり、業平の求めをにべもなく断りますが、業平はお前がだめなら白梅に頼む、というのでした。白梅とは道真の下で働く下女で、1巻に出てくる「玉虫姫」の一件で道真に引き取られた「書を読むことが好きな」娘です。

高子は教養の高い女性で兄たちに杜甫の詩を朗誦して煙に巻き、文章生の下女、すなわち白梅に「慰めになりそうな書」を届けさせることができました。白梅は初めて高子=本物のお姫さまを見てぼうっとしてしまいますが、高子業平から玉虫姫の一件も道真のことも聞いていると言い、「私は物の怪のことなどどうでもいい。ただみなが怯えるのも外界から閉ざされるのもいやじゃ。それは我が儘であろうかの」と言います。白梅は胸を打たれ、協力を申し出ます。高子は、白梅に屋敷の中を自由に歩くことを許します。

白梅は道真邸にもどり、業平に高子邸の内部について報告します。道真は動く気がなく、白梅がそれを高子に伝えに行くと、高子は高価な壷を叩き割り、それを白梅のせいということにして、道真が「謝罪」というかたちで高子邸を訪れられるように取りはからいます。

道真は高子邸に呼び出され、自分を呼び出すためにだけ高価な壷を叩き割るとは一筋縄では行かない、と思います。物の怪について解決してくれと言われてあまり怖がってないように見える、と不審を言う道真に、高子は「物の怪よりも怖い物がある。いま一本御書所の「山海経」を借りているのですが・・」と言います。これは写本ではなく唐から輸入した貴重な書で、つまりそれで道真を釣ろうとしているのですね。道真は見たくてたまらず、協力を約束してしまいます。「さすがあの業平殿が通じていたという姫君。想像以上に食えない姫君だな…」という道真の表情が可笑しいです。

そこに筑紫が現れ、実は自分の元に通っていた男がいて、それがバレないように「物の怪」だと偽っていた、と本当のことを言います。やれやれと思った道真はもう用がないでしょう、と帰ろうとしますが、高子は今度は道真に唐の墨、麝香の香りのする松煙墨の一級品を見せます。「この私を物で釣ろうとするなど・・」と思う道真でしたがどうしても欲しく、「物の怪騒ぎを治め屋敷から兵を引かせる」ことを約束します。

道真がどんな解決法を提示したか、それはお読みいただければと思いますが、本当に名探偵、という感じの活躍ぶりでした。

9話と10話は中国の墓から盗掘した鏡を売りつける男が妙な病に冒されていた、という話なのですが、これもなるほどと思うところに話が落ち着きます。

その話よりも注目したのは、この第2巻を通して背後で語られている、道真の亡くなった兄の話なのですね。6話の反魂香の一件で道真は兄の幻を見、8話で高子が道真の兄のことを尋ねると道真は私に兄はいません、と答えます。当時の道真の通称は「菅三」、すなわち「菅家の三男」ということなのですが、誰もいるはずの兄のことについて語らないのです。第9話では藤原基経が菅原是善、つまり道真の父のことを「もう牙が抜かれた」といい、道真の兄のことを「流行病で死んだ」と言っていますが、さらには道真自身にも目を付けていることが示されて、なんだか道真をめぐる不穏な動きが垣間見えます。

道真はともかく、父の是善は単なる文章博士だろうと思っていたのですが、当時是善は従四位下、文章博士を兼ねながら大学頭や刑部卿などにも任ぜられ、後には三位に上って公卿に列せられているのですね。基経の下で六国書の一つ「日本文徳天皇実録」を編纂し、貞観格式の編纂にも参画しています。

菅原邸では父子が鷹狩り用の鷹を飛ばしているところに業平が現れ、談笑していたのですが、業平が道真を鷹狩りに誘おうとすると、突然是善は度を失い、「狩りはならぬ!」と叫ぶのです。その場は無作法を詫びて済みますが、道真は昔のことを思い出します。実は道真の兄も鷹狩りによく行っていたのですが、そのあと人が違ったような病に陥ったことを道真は思い出すのです。

そして盗掘者の一件を解決する中で、道真は兄の死の真相に気づき、封印されていた兄の遺品を探ります。そしてそれを止めようとする父に道真は「兄上は殺されたのですね」と言うのでした。

平安前期の権力闘争を主題にしたミステリー、名探偵菅原道真、という感じなのですが、それだけに読んでいるといろいろと「歴史好き」のタマシイが刺激される感じがします。(笑)

道真の元で働いている下女が「白梅」だとか言うのも当然のちの道真の失脚時の「東風吹かば匂ひをこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」の歌を思い出させますし、墓荒らしの一件で内裏の八省院で墓荒らしを取り押さえた道真に業平が「何があろうとこの内裏で死人は出してはならぬ」というのですが、これも道真が憤死したあと清涼殿に落雷があって何人もの公卿が死んだ事件を思い出させます。この事件が、憤死して雷神となった道真が自らに仇をなした藤原氏一党に祟りをなした、とされていることも有名ですね。

そんなふうに少し歴史を知っていると「あ、これは」と思うようなディテールを施すことができるのも、歴史マンガの面白さではありますね。

第3巻も楽しみにしたいと思います!
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