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週刊漫画Timesで青木幸子さんの『茶柱倶楽部』第46話「『対』の形」を読みました!心の底の方からしんわりと暖かくなるお話でした!


茶柱倶楽部 6 (芳文社コミックス)茶柱倶楽部 6 (芳文社コミックス)
(2014/09/16)
青木 幸子

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週刊漫画Timesで青木幸子さんの『茶柱倶楽部』第46話「『対』の形」を読みました!

『茶柱倶楽部』、今回は1話読み切りです。凄く心に沁みる話でした。

場所は尾道からしまなみ海道、瀬戸内海を渡って四国・松山、そして内子へ、という旅です。普段は「お茶とともに」旅をしている主人公の伊井田鈴ですが、今回は尾道で出会った向田さんと言う年配の女性のお客さんを同乗させての旅になっています。この向田さん、年配なのに旅知らず、ホテルの取り方も知らない人なのでした。

松山はまず道後温泉本館。個室を取ると天目茶碗でお茶に坊ちゃん団子が出てきます。向田さん、松山に住んでいたことがあって、そう言うことには詳しいのですね。

実は向田さんは訳ありで、「気乗りしない用事」で松山に来ることになり、尾道で出会った鈴が松山に来るというので、もし同乗させてくれると言ってもらえたら行こう、と思ったのだそうです。それで、鈴が「いいですよ〜」と言ったから来た、のですね。

で、鈴は、力になれるといいな、と思ったのでしょう、目的地と予算、何泊かを聞いてみます。でも向田さん、まだ迷っているようだったので、良かったらと言って自分の泊まる内子の宿へ向田さんを案内したのでした。これは「お茶の先生のオススメ」ということですので、お茶の先生(と言っても大学でお茶を研究している)桜井先生のことでしょうね。大きな商家のお屋敷あとの蔵を宿にした宿で、向田さんは大きな屋敷をみて何やらもの思わしげです。

しかし中に入っていると新聞のチラシで作ったくず入れが置いてあり、鈴もおじいちゃんが作っているとか、向田さんの旦那さんもよく作ったりしていたとか言って楽しそうに盛り上がります。向田さんは嫁ぎ先が老舗の商家だったから蔵もあって、そう言うところに泊まれるなんて不思議、とまるで子供のようなうきうきした表情をするのでした。

そう、今回の茶柱倶楽部、この「向田さん」というキャラクターがとても魅力的なのですね。今までの作品の登場人物はきれいなのだけど固い感じの線で描かれていたのに対し、この向田さんというキャラクターは中年の女性というせいもあるのでしょうけれども、丸くてじんわりと人柄がにじみ出るような線で描かれていて、凄く魅力的なのです。マンガというよりも生きた人間が描かれている感じがして、凄くワクワクする物がありました。

鈴はそれから毎日松山市内に店を出しに行くのですが、向田さんは何のかんの言って市内に行こうとしません。よほど気が進まないのでしょう。

しかし4日目の雨の夜、防災無線で老女が行方不明になったと言うのを聞くと向田さんの表情が変わり、見も知らない人を探さずにはいられない様子でしばらく外を彷徨います。無事見つかったと放送があって宿にもどった二人ですが、向田さんは何か思い詰めた雰囲気で鈴に「どんなに許せなくても本気で謝るなら許すべきなのかしら?」と問います。「大人げないわね…間違いはお互いさまなのに…」という向田さんに鈴は、「許せないことがあってもいいんじゃないですか」とぽつ、というのでした。

「今日、いいお茶碗仕入れたんです。明日の朝お茶を入れますね」という鈴。「いろいろな大変なことがあったと思うけど、楽しそうに話してくれたこともある。今日見つけたあの器で、その気持ちを思い出してもらえれば」と鈴は思います。

翌朝、鈴が煎れたのは凛々しく清らかな香気の愛媛「新宮茶」を同じく愛媛「砥部焼」の夫婦茶碗に煎れた物でした。新宮茶を飲んだのは初めてかもしれない、という向田さん。その清々しさに「秋が来たことに気づいた早朝の空のような」と思います。

「愛媛にはほかにも茶所がいっぱいありますよ。地元で消費されて外へ出ない美味しいお茶も沢山!だから旅するお茶屋としては!農協の直販所とか道の駅を見かけたらまずお茶チェックです」と鈴は言います。なるほど、ですね。

「夫婦茶碗で煎れてくれたのはなぜかしら」という向田さんに、「旦那さんのお話が楽しげでしたので、気乗りしない用事をいい思い出で乗り切れればと」と答える鈴。「昨日もびっくりしたわ。許さなくてもいいなんて普通言わないでしょう」という向田さんに鈴は、「思ってもいないことを自分に信じさせるのは無理ですよ」というのでした。

翌朝、鈴が目を覚ますと向田さんはいなくなっていて、置き手紙がありました。

そこには向田さんの深い事情が。

「気乗りしない用事」とは、「別れた夫と息子と孫」に会いに行く、という物でした。向田さんは嫁いださきの商家で姑にいじめられ、実家で母が倒れて実家にもどりがちになると婚家に居場所がなくなり離縁され、息子も跡継ぎだからと婚家に取られてしまったのだそうです。

ところが後妻に入ったお嬢様がキツい性格で今度は姑がいじめられ、諍いの果てに姑が亡くなり後妻も家を出ると、今度は夫がもどって来ないかと声をかけてきたのだそうです。

私が家を追われるときにかばってもくれなかった夫に会いたいのかどうか、自分でも分からない、と向田さんは言うのでした。

しかし、あの雨の夜に見知らぬおばあさんを探していて、傲慢な姑が嫁に罵倒されて雨の晩外に飛び出したという話を元夫に聞いて、許せないことには変わりはないのに、やりきれないほどに胸が痛くなった、というのです。

「許さなくていいと言ってくれてありがとう。

私はあの一言で、許せない自分を許すことができました。」

そう、向田さんは言うのでした。

そして、「あの夫婦茶碗と同じ物を持って会いにいこうと思います。あなたにも私にも良い旅が続きますように」、と。

読み終えて鈴は、目に涙を浮かべながら、夫婦茶碗にお茶を煎れます。

どうか温かい気持ちに満たされて、幸せなひとそろいになりますように、と思いながら。

今回はここまでです。

うーん。やはり、今までのお話もいい話なのですが、この46話は何か、魂に届く届き方が違う感じがします。お話もすごくいいですし、やはり向田さんのキャラクターが素敵です。また鈴の言葉の深さも、その表情も、いつもとは一段違う感じがしました。

場所もいいですね。しまなみ海道の風景、道後温泉本館に、内子の老舗の商家の蔵を改造した旅館、その軒先にテーブルを出しての小さなお茶会。私も松山は一度しか行ったことがなく、道後温泉本館は行ったことがありますがその他は駆け足で通り過ぎてしまいましたので、その背後にはそんな文化的な背景があるんだなあと感動しました。いいところだなあと思います。また、私は砥部焼の焼き物が好きで、湯呑みはないのですがお茶碗や蕎麦猪口も持っています。

そんなことからも親しみを感じたのかもしれませんね。

心が底の方からしんわりと温かくなる、そんなお話でした。
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