個人的な感想です。

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新潮社の「月刊コミック@バンチ」11月号で灰原薬さんの『応天の門』第11話「染殿の后、鬼に乱心せらるるのこと」を読みました!


月刊 コミック@バンチ 2014年 11月号月刊 コミック@バンチ 2014年 11月号
(2014/09/20)
不明

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新潮社の「月刊コミック@バンチ」11月号で灰原薬さんの『応天の門』第11話「染殿の后、鬼に乱心せらるるのこと」を読みました!

新潮社から出ている「月刊コミック@バンチ」。新潮社と言うと新潮文庫を初めとして、文学関係のイメージが強いですが、マンガ雑誌も出しているのですね。もっとも、「少年ジャンプ」のイメージの強い集英社でも海外文学をかなり出版しているので、一般的なイメージとは別の顔も、出版社は持っていることが多いのだなと思います。

「コミック@バンチ」は初めて買ったのですが、「いつかティファニーで朝食を」や「女子攻兵」などの書店でよく見る作品やまん○画太郎さんの「ミトコンペレストロイカ」なども連載されていて、独自性のある面白いラインナップだなと思いました。

さて、今回「コミック@バンチ」を買ったのは、先日読んだ「応天の門」第2巻のラストが気になったからです。(笑)さて、どのように続くのかと。主人公・菅原道真が名推理で、父の菅原是善に「兄上は殺されたのですね」と問いただす場面がラストでした。気になりますよね。(笑)

で、今回この雑誌を買ってよかったと思うのは、作者の灰原薬さんと監修の本郷和人さん(大河ドラマ『平清盛』の監修などもなさってましたね)の対談が5ページ掲載されていたことです。このことについてもあとで書きたいと思います。

今回は巻頭カラー。兄・吉祥丸と幼い頃の道真。道真は阿呼(あこ)と呼ばれています。吉祥丸が論語を暗唱しているのですが、そのそばで聞いている阿呼が兄よりも先に詩句を暗唱してしまいます。道真は回想しています。「兄は凡人であった。優しい兄だった」と。

現在にもどり。

兄上は殺されたのですね、と父に詰問する道真。流行病で死んだのではなく、狂犬に噛まれて死んだ。道真は狂犬(たぶれいぬ)に噛まれた症状を実際に見て、兄の死に様を思い出し、「兄上は藤原に殺されたも…」と言いかけたのですが、父・是善に止められます。そこに突然の宮中、天皇からの呼び出しがかかり、是善は急遽宮中へ向かいます。道真は兄の日記を白梅に自分の部屋に運ばせるのでした。

来たばかりの白梅は菅原家の事情が分かりません。その白梅に古参の女房の桂木が説明します。長男は7歳上で吉祥丸と言い、次男は生まれてすぐ亡くなった。吉祥丸をなくされて殿(是善)は深く悲しんだ。ゆえ、この話はもうしてはならぬ、と。

一方、宮中の帝の間。近う、と呼ばれ御簾の中に入ってみると、まだ中学生ほどの帝(清和天皇)は昨夜母上がここに現れた、と言うのです。清和天皇の母は藤原良房の娘、明子(あきらけいこ)。染殿の后と通称されています。文徳天皇の女御に上がりますが、大変な美貌の持ち主だったそうです。しかし現れた姿は髪も衣も乱れ、「皇子様、母を許せよ、母は、もういけませぬ」といい、まともな感じではありません。実は、『今昔物語集』などによると「物の怪に悩まされる」などのいわば精神的な病に悩まされていたのだそうです。

菅原是善は清和天皇の侍読(じとう)で、天皇に読んだ生霊の書を、天皇が思い出したために是善を呼び出したのでした。染殿后は藤原良房の娘ですから、「おじいさま」には伝えたくない、と天皇は思ったのでしょう。母の手布が落ちていたからこれは夢ではない、また良房は母の話をすると良い顔をしない、しかし母上のことが心配じゃ、という天皇は、是善に「母上に密かにお会いできぬかなんとか取りはからってたも」と言うのでした。

しかしもちろん、それは難題中の難題です。引き下がった是善ですが、そこに藤原基経が現れます。(この親子、敵役の公家悪としていい味を出してます。)帝の侍読はいかなる時もお召しがあれば参じるが務め、と言う是善に基経は、「帝母は恋しいとでもおっしゃられたか」と言います。立ち聞きしていたのでしょうか。「染殿様をいずれ帝に(お会いさせられるのか)」と問う是善に、基経は「そなたも我が身と家が大事ならば染殿には近寄るでない。これは藤原のことじゃ。よいな?」と酷薄そうな目で睨みつけるのでした。

基経は染殿付きの女房・遠山を呼び、帝の寝所に染殿が現れたことを責めます。そして金剛山の僧を呼んで祈祷を行うと言い、ことが表に出れば首が飛ぶでは済まぬぞ、と言うのでした。

そこに現れた染殿の后。やはり乱心しているのが明らかに分かります。部屋におもどりくださいと言う遠山は、薬粥を無理矢理染殿に食べさせ、ぐったりしたところで部屋に運ばれます。これはある種の向精神薬の作用があるように思われます。この辺の描写は、凄惨です。

そしてやってきた病平癒祈願の僧侶たち。若くて精悍な、と言うより何というか精力に満ちあふれた感じの僧侶たちで、なんだか禍々しい雰囲気を漂わせています。「染殿様もご趣味のいいことよ。見目の良い若い僧ばかり選んででもいらっしゃるのかしら」と不穏な言葉が投げかけられます。僧たちは基経の前で「七日七晩の祈祷を行うので決して戸を開けぬよう」といい、基経は「しかと頼み申す」と言うのでした。

これは尾張徳川家の本寿院のくだりなどを思い出させますが、しかしなんだかストレートにそれも受け取れない感じがしますね。何かもっと企みがあるような感じがします。

警護の任に就いている在原業平は基経に「警護の者も近づけるな」と言われ、「染殿様はそんなにお悪いのですか」と尋ねると、「そなたは己の務めだけを果たせ」と言って去ります。しかし業平は去り際に、僧侶から漂う不審な香りに気がつくのでした。(これも第2巻にあった反魂香が瞬時に頭に浮かびましたが、どうでしょうか)

一方、道真は父に対してハンガーストライキを続けながら兄の日記を読みふけります。その中に書かれているのは、弟の道真が出仕する時のために今自分が藤原の若君たちと上手くやることが大事だ、と言う兄の思いなのでした。その二日後に死んだ兄。その兄の思いを、道真は深く感じるのでした。そして病床の兄が道真に「来るな!」と叫んだ真の理由に思いを馳せるのでした。

今回はここまでです。

藤原氏の台頭の影で、学問の家として重きをなす菅原家が四苦八苦している様がよく見えますね。是善も大変だなあ、と思います。

さて、灰原×本郷対談。

灰原さんがこの作品を描くとき、平安時代前期のことを、調べながらでも描いてみたいし、編集さんから監修としてうってつけの人がいる、と言われたことで本郷さんが監修につくことになった、と言うお話でした。新潮社のように一般書籍に強い出版社は、こういう面では有利なのかな、と思いました。

本郷さんはマンガが好きなのだそうで、マンガに関われることが嬉しく、灰原さんも知らずに書いたことでも「それもありかもね」と受け止めてもらえるので助かった、とか、灰原さんも良くわからないことは片っ端から質問したとか、のエピソードが面白かったです。

何しろ1000年以上前の話ですから市井の人の生活ぶりなど資料がないことも多く、そう言うことに限って質問される、と言う話が可笑しかったのですが、そりゃそうだろうなと思いました。まだ静的な貴族社会ができる前のダイナミックな、バブル前みたいな時代であることに本郷さん自身も調べ直していて気がついたのだそうです。

灰原さんもこの地味な時代を分かりやすく説明するのは難しいのではないかと編集さんに相談したら、「イケメンを出そう」と言うことでまとまったのだそうです。(笑)この辺り、「重版出来!」で言われていることと同じで可笑しかったです。

しかし、業平はともかく道真がイケメン?と思って絵を良く見直してみると、…これ、リヴァイ兵長じゃないですか。(笑)道真の顔に一番近いキャラクターは、「進撃の巨人」のリヴァイだ、と言うことに気がつき、大変腑に落ちました。(笑)灰原さんはおっさんキャラがうまく、特に業平は本郷さんによれば「僕らおっさんの星」で、彼がただの女たらしではないところがこの作品にはよくでている、と言っておられますが、それは私も同感です。おっさんキャラに囲まれる中で道真のあの三白眼ですから、際立って見えるのですよね。

道真のキャラも、調べて行くうちに「現実主義過ぎてもののあわれを理解してない、こんなんじゃもてないよ」的な批評があったりして、そう言う方向でキャラ作りを行ったのだそうです。「かっこいい人のかっこわるいところを見たい」、つまり「ギャップ萌え」をやりたかったのだそうです。

私も、この作品の難しそうな点については大体お二人がおっしゃるように考えていたので、よくここまでやれてるなあと感心しているのですが、やはりマンガにおいてキャラの力は大きいのだなと改めて思いました。今回の染殿の后もいろいろな面で非常に興味深い、特にまだ乱心前の美貌の時代の様子を見てみたいのですが、なんというか従姉妹である藤原高子と共通するイメージがあって、「藤原の女性たち」の底知れぬパワーみたいなものがあるように感じられます。この時代の人たちの中では、藤原氏の女性は長生きする人が多いのですよね。その辺りをテーマにした作品も、面白いのではないかな、と思うのでした。

先の展開が楽しみですね!
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