個人的な感想です。

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マンガ家さんたちの制作風景を描いた「浦沢直樹の漫勉」を見ました!(1)圧巻でした!

マンガ家さんたちの制作風景を描いた「浦沢直樹の漫勉」を見ました!(1)

これは11月9日午前零時からNHK・Eテレで放送された番組です。ツイッター上でアナウンスされていたのを読んで見てみたわけですが、ものすごく良かったです。

マンガというものは、作品になったものが印刷されて読まれる媒体であるわけですが、その制作風景が映像で記録されるということは今までほとんどなかったようです。

それで、マンガ家の浦沢直樹さん(スピリッツに連載されていた「YAWARA!」などで有名ですね。私は読んでいないのですが、同じくスピリッツ連載の「20世紀少年」も有名です。現在モーニングで「BILLY BAT」が連載中です。浦沢さんはデジタル化を拒絶されているのか、Dモーニングの方には掲載されないので最近読む機会が減っているのですけれども)が発起人のような形で制作風景を映像として残す、と言う企画を考えられたそうです。

「マンガ家のペン先を映像に残す」

凄い企画だと思います。

マンガを描きたい人にとっても、純粋な読者にとっても、これは堪えられない企画ではないでしょうか。

浦沢さんがこの企画を考えられたのは、1986年に手塚治虫さんの制作風景を取り上げた番組を見てのことだったそうです。この映像も少し流れましたが、手塚さんがリズミカルに制作しリズミカルに悩んでいる風景を見ていると、何か凄いなと思います。

こういう形で、現代のマンガ家たちの記録を残したい。世界にも発信したい。そういう思いを、浦沢さんを持ったのだそうです。

その浦沢さんの思いに答えられたマンガ家さん二人とともに、この1時間番組で制作風景が記録されていました。

お一人は、かわぐちかいじさん。「モーニング」に連載されていた「沈黙の艦隊」でブレイクされました。現在はやはりモーニングで源平合戦を題材にした「ジパング 深蒼海流」を連載されています。

もうお一人は山下和美さん。「モーニング」連載の「天才・柳沢教授の生活」でブレイクされ、現在はやはりモーニングで「ランド」を連載されています。山下さんのお宅は本格的な数寄屋造りなのですが、その建築については「数寄です!」という実録マンガを描かれ、私はこの「数寄です!」は全巻持っています。

かわぐちさんは1948年生まれ、浦沢さんと山下さんは1959年度生まれで、お三人とも私より少し上の世代。80年代から90年代にかけてブレイクしたかたがたです。

特に良かったのは、下書きの風景、ペン入れの風景。アイデア出し、ネームをしているところはさすがに映像にはなっていませんでしたが、多くのマンガ家さんが「ネームが一番大変」だとおっしゃいますね。それぞれの個性的なアイデア帳やネームも画面には映っていて、とても面白かったのですが。でもネームが終わったあとの下書きとペン入れも、それぞれに特徴的でとても面白かったです。

マンガは基本的に何にもない真っ白な紙に、毎回何十枚という原稿を書いて行くわけですから、すごい作業なんですよね。しかし最初にアタリを書いたり枠線を書いたりする作業は、例えば私のような素人が書く場合と全然同じわけです。ではどこが違うかと言うと、マンガ家さんたちは描く前から描くべき「絵」が見えてらっしゃるわけですね。


BILLY BAT(15) (モーニング KC)BILLY BAT(15) (モーニング KC)
(2014/09/22)
浦沢 直樹、長崎 尚志 他

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例えば浦沢さん。まず枠線を引き、吹き出しの位置を決め、セリフを書いて、それから人の顔の当たりを取って絵を描いて行きます。結構適当に線を引いているように見えて、実はすごい的確な場所に描いている。そこに当たりを付けてそこに線を何本か引くのかな、と思ってみていたら、適当に描いたように見える場所がそのままであることが多い。で、ちゃんとした絵になってるんですね。

それから下書きを書かれる時も、一つ一つのコマを順番に描くというより、一ページ全体を見直しながら、2コマめを描いてから1コマめを直したりする。浦沢さんによると、「演技の流れの中で何コマか描いてみて最初のコマが演技が間違ってることが分かることがある」というわけです。このあたり、全く映画のような考え方で描かれているのだなと思いました。

コマによっては何重にも線が引いてあるところもあるのですが、それで下書きが終わると、沢山の鉛筆の線の中から最終的に決まった一本の線を選び出し、ペンを入れる。浦沢さんはペン入れ前にはあまり消しゴムを使わない印象です。「絵を描いてるのではない、演技を投影しているから、スピードだったり空間だったりをここに書き留めようとしてる、そのダイナミズムを紙の上に出せるかどうかだ」と言っていて、凄いなと思います。

そして背景を書き、スクリーントーンを張り、細かいところを修正して完成。面白かったです。


ジパング 深蒼海流(3) (モーニング KC)ジパング 深蒼海流(3) (モーニング KC)
(2013/09/20)
かわぐち かいじ

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次にいきなり平清盛の絵のアップ。かわぐちさんです。川口さんの撮影の一週間後、二人でそれを見ながら話をしている内容が面白かったです。

コマの枠線を5ミリ下げルト、読者の視線の動きがコンマ何秒違う、というのはあまり実感としては分かりませんでしたが、視線の動きをコントロールするというのが枠線の引き方の目的の一つにあるというのは新鮮でした。シャーペンで下書きをして、太さは0.5ミリ、濃さはBというところまで二人の意見が一致。

アシスタントに絵の指示をする時、「なんとかっぽく」ではダメだ、自分の中で言語化出来るまで追いつめてから言わないと、という話も面白かったです。

そして凄く面白かったのが、昔はマンガには正面画がなかったと言うこと。日本のマンガは基本的に大和絵の伝統を引く「引目鉤鼻」でしたから、正面からの視点では基本的に描けないのですね。ですから、そこにリアリスムを導入するとマンガの絵としては描けなくなる、というジレンマが起こるわけです。

それを切り抜けた一人が江口寿史さんで、「鼻の輪郭を書かない」というのでクリアし、それをみんなが一斉にマネするようになった、という話はとても面白かったです。今ではマンガの書き方のような本でもみな「正面画」から書かれてますからね。私が子供の頃に読んでいた石ノ森章太郎さんの「マンガ家入門」などの内容からすると、隔世の感があります。

ペンの種類は、かわぐちさんはずっとGペン。丸ペンは使わないのだそうです。私は子どもの頃少しマンガにトライしてみて、その時は文房具屋にカブラペンしかなかったのでカブラペンで書いたのですが、Gペンは当時からあったなあ、丸ペンはなかったなあといろいろ思い出しました。

それから、人間の顔をどこからかき始めるのか、という意見のちがいも面白く、周りから攻めてくタイプのかわぐちさんと、眉毛→目と言う順序で描き始めると言う浦沢さんの、方針の違いも面白かったです。本当にこの辺りは個性があるんだなあと思いました。

劇画から描き始めたかわぐちさんが、ある時点で目を大きく描くようになったのだそうです。それは編集者に、人間の感情表現は目に現れるから、目が小さいと分かりづらい、と言われたのがきっかけだったそうです。そしてそれをきっかけに絵柄がポップになり、劇画にとどまらずいろいろな分野の作品が描けるようになった、という話がとても面白かったです。絵柄がジャンルの壁を広げる役割をする。面白いなあと思います。

だいぶ長くなりましたので、山下和美さんの話はまた改めて書きたいと思います!
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