個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

ふみふみこさんの「ぼくらのへんたい」第30話「雪の日」を読みました。


ぼくらのへんたい 7 (リュウコミックス)ぼくらのへんたい 7 (リュウコミックス)
(2015/02/13)
ふみ ふみこ

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コミックリュウ3月号でふみふみこさんの「ぼくらのへんたい」第30話「雪の日」を読みました。

第7巻の書影、見たとたんに「ぎょえー!かわいい!」と言ってしまいました。(笑)

今月の「ぼくらのへんたい」は2月13日の第7巻発売を記念ということで、センターカラーです。

パステル調の明るい感じのセーラー服姿のまりかのバストショット。ページをめくると、色鉛筆調の三人が見開きにアップ。そしてさらにめくると、雪を見上げるまりかの姿。性同一性障害、あるいはトランスジェンダーの診察を受けに病院に行って、その帰り。まりかの腕を組むお母さん。ちょっと老けた気もするけど、なんというか、自分自身がまりかを娘と認識出来るようになってきて、「母親と娘」をやってみたくなったのかな、という気がしました。今時の、仲のいい母娘のように。

同じ雪を見つめている亮介(ユイ)と、父親。学校に、進路相談の三者面談に来ています。亮介、中三なんですよね。頑張って勉強して成績が伸びて、私立の「北上高校」を受けないか、と言われています。それは、パロウ(田村修)の学校なのですよね。そのことを、亮介は認識しているのかいないのか。

姉を失ってから精神の平衡を崩した病の母の面倒を亮介は一人で見続けて、その中で姉のフリをするために続けていた女装。女装をする動機を失って、でも先月の回では、セーラー服で学校に通うようになったまりか(裕太)とデートしていました。自分のこと、どう考えたらいいのか、わからなくなっていた。でも何かつかえが取れて、どこか大人っぽさが出てきていた亮介なのですが。

頑張ってみたらどうだ、という父親に、亮介は私立の男子校の進学校なんて、と言っては見たものの、父親に「金のことは気にするな。やりたいようにやりなさい」と言われて子供らしい顔をします。夢を見てもいいんだろうか、自分の将来のことなんて、考えてもいいんだろうか、と思っている感じです。背負っていたものが重すぎましたよね。

雪降る道を歩きながらの父親との会話。この258ページから261ページにかけてのこのシーン、ひとこまひとこま違う角度から亮介と父親を描いている、この4ページがすごく良かったです。

母親の退院を告げる父。岡山の実家に帰っていると。「亮介に会いたいってさ」。その言葉に、亮介は自問自答します。母親を支える。その「一番の目的がなくなってから、自分が何をしたいのかかわからなくて、何も考えないでいられるよう、がむしゃらに勉強していた。」でもその中で、亮介は何か充実して来るものを感じていたのでしょうね。「亮介に会いたいってさ」。その言葉は、「失ったと思ったもの」を、実は失ってなかった、ということをも意味していた。だから亮介は言ったのでしょう。「オレ、受けてみるよ、北上高校」と。

進学校を受けるということは、当然その先には大学があるわけで、そしてさらには今の自分の知らない世界がある。多分亮介は今まで、そんなことを考えられなかっただろうと思います。扉のアオリ、「一歩ずつでも、前へ」ということば、まりかもそうですが、亮介にとっては、塞がれていた目の前がぽろぽろと壁が崩れて、今まで見てもいなかった世界が開けて行くような感じがしているのではないかと思いました。

進学塾の帰り、マクドナルドのようなところで食事をしているともちとパロウ(タムリン)とあかね。ともちは北上高校ってどんなとこ?と質問しています。早めに志望校を決めておけ、と塾の先生にいわれているのだそうです。あかねは何の気なしに男子校だと一緒の学校に行けないじゃないよ、と文句を言いますが、ともちは「まりかとも無理なのか…な?」う・・・ん。。。?

そうですね。

まりかは、自分の身体の性である男の子としてでなく、自分の心の性である女の子として、ようやく受け入れてもらえるようになった。でも中学生なんですよね。これから高校生になり、大学生になる。そのそれぞれの場所でどう振る舞って行くのか。

「スカートとタムリンならどっち選ぶかな」

またともちはパロウに挑発的なことをいいます。あかねは、手を握りしめて。うん、これは希望的観測を混めて、裕太は成績的に無理じゃないかな、と言います。あかねはタムリンのことが好きなので、自分が置いてきぼりにされてともちと裕太(まりか)が男子校に行ってしまうのはイヤだ、と思ってしまったんですね。そんなあかねを見つめるともちの目。パロウを見る目と違う目なんですよね。このともちの「目」がとても印象に残ります。

そして出ました。「男の娘」のお着替えシーン。これ、先月約束してたんですよね。パロウの部屋のようです。着替えながら、ともちはパロウにあかねの気持ちを知ってるのか、と問いただしますが、「前に告白されたけど何も答えてない。後藤さん(あかね)も聞きたくないんじゃない?」というパロウ。この辺の業の深い感じの女の子の扱い。「後藤さんも聞きたくないんじゃない?」うーん、このセリフに、パロウのある種の性質が本当に良く現れているなと思います。

完全に女装した二人。パロウはともちに口紅を塗ってやります。やっぱり美人だね、というパロウに、全然だめだよ、というともち。きれいよ、と言われて顔を赤らめているともち。キャラまで変わっているパロウに戸惑っています。

ともちは、「男とか女とかどうでも良くなりたくて女装してたんだ」といいます。確かに、ともちは初めて裕太(まりか)の前に現れた時、そう言ってました。でも一心に女の子になりたがっているまりかに影響されて、それを忘れていたんですね。性別を超えたい。それがともちの願いだとしたら、つまりは自分の意識としてのジェンダーフリーと言うことなのですが、どうもそれだけではない。

一方パロウも、女装の理由を聞かれて「好きな男に求められたから」と答えようとしてその答えが言葉にならない。おかしいな、と思います。

ふたりは女装のまま外に出ます。生足のまま外に出るともち。生足で出たい、という気持ちがわかるようなわからないような。女子は偉いよなあ、と言いながら、やっぱりいいなスカート、と嬉しそうなともち。かわいいです。ごつい足首に男物のローファーをそのままはいているのが、身体は男の子なんだなと思いますが。似合わなくなった、と言うことをともちはすごく気にしているんですね。

パロウは、好きな人にさせられたのがきっかけだった、だからもう必要はないんだけど、女装していると、「誰かにまた求められるような気がして安心する」と言うのです。ともちは、まりかもあかねも、あんたが女装してるから好きなわけじゃない、と言うのですが、「ふたりはだめよ。ちょっときれいすぎるもの」とパロウは言います。

何かこのあたり、すごくジンとしてしまうんですね。二人はきれいすぎる。それはともちもそう思う。そして「あなたぐらいがちょうどいいんだけどね」と言うパロウ。ともちは顔を赤くします。このあたりの二人の会話、珠玉だなあと思います。

「女装してるとよくしゃべるし笑うんだね」というともち。「きれいすぎる」二人には、つい嗜虐性をもってしまうパロウ。「会いたい」と思う亮介(ユイ)には、「オレには無理だ」と言われてしまうパロウ。「女装してるとよくしゃべるし笑うんだね」というともちは、本当に、ありのままのパロウを受け入れてくれるただひとりの人かもしれない。パロウが「自分のほんとう」をこれだけしゃべっているのを聞くのは、初めてなんじゃないかと思う。このあたり、ほんとうにジンとします。

「でもこんなことももうやめなきゃ」と言うパロウ。ともちは逆に、鋭い目になります。ああ、ここのともちいいなあ。「いつもの暗くて何考えてるかわかんないあんたよりいいと思うよ」と言うともちの、照れて満面の笑みを浮かべる顔が、何か最高です。

結局、ともちも自分の本音を、裕太にもあかねにも言えない部分があるんですよね。素直になりなよね、とパロウを抱きしめるともち。そんなこと、裕太に対しては出来ません。

ともちは、生足の楽しさなのか、素直になってるパロウに影響されたのか、また女装への情熱が燃え上がってしまいます。「ねえなんでメンズってワンパタなの?素材も全然楽しくないしその割には高いし超つまんない!」

思わず笑ってしまいます。ここまで来ると私にはよくわかりませんが、でも女の人は男の装いにそう思ってるでしょうし、また女装が好きな男性もそう思ってるんだろうなと思います。

何というか、二人の距離がぐっと縮まった感じがします。

一方のまりか。外を見て「雪積もってる」というまりかを、お母さんはまた抱きしめます。何かほんとうに嬉しそうです。そんなものなんでしょうか。でもかわいい娘が欲しい、それが手に入った、という感じなんでしょうね。まりかは外を見て言います。「おやすみパロウさん」

むー。

笑・笑・笑

裕太=まりかは思い切って女の子になった。それはいいのだけど、多分男子校に行くことは出来ませんよね。そして、女装友達である亮介=ユイも、ともちもパロウのいる男子校へ行きそうな雰囲気。どうなるんでしょうか。

今回はすごく穏やかな展開の回だったのですけど、「進路」というファクターが明確に入ってきて、何やらまたひっくり返りそうな何かが遠くに見えてきた感じがします。今のところ、一番先を走っているのは決断したまりかのように見えるのですが、でも高校生になったまりかが今のままでいられるのか。まりかの決断が、どの場所でも受け入れられるとは限らないですよね。

今回もとても良かったです。特に、パロウが自分の本当の気持ちをともちに話すところ。二人でいたら素直になれる、この二人はほんとうにそう言う関係なんだなと思います。

でも、まりかがかわいそうですよね。

うーん。

どうなるんでしょうか。

いろいろなことを考えさせられた第30話でした。
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