個人的な感想です。

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別冊少年マガジン3月号で諫山創さんの『進撃の巨人』第66話「願い」を読みました。


別冊少年マガジン 2015年3月号 [2015年2月9日発売] [雑誌]別冊少年マガジン 2015年3月号 [2015年2月9日発売] [雑誌]
(2015/02/09)
押見修造、飛田漱 他

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別冊少年マガジン3月号で諫山創さんの『進撃の巨人』第66話「願い」を読みました。

今回の『進撃の巨人』は面白かったです!

正直言って、先月のエレンが絶望する展開はそれでいいのか、と思ってやきもきしていたのですが、今回はとてもすっとする展開になりました。

以下、すでに今月号を読んでいらっしゃるという前提で書かせていただきたいと思います。ネタバレもありますし、ストーリーについて触れるところもありますが、順番に書いているわけではありませんので、お読みになる前でしたら読んで興が削がれる部分があると思います。ぜひ、先に作品をお読みいただいてからこのエントリを読んでいただければと思います。

ちなみに私は今月の別マガはKindle版で読みました。また改めて、紙の本誌を買ってじっくりと手触りを味わいながら読み直したいと思っています。

***

今回はヒストリアがとても良かったですね。

今回読み終わってから今までのここ数回を振り返ってみると、「自分の意志のままに生きていこうとするヒストリア」ではなく、「父の期待に答えようとする」という点で「クリスタ」に戻ってしまっていたんだなあと思います。

何か妙にいい子でしたもんね、ここ数回。

先月も、エレンが絶望して「おれを食って人類を救ってくれ!」なんて言い出すと、素直にそれを受けて注射して巨人化した、のではないかと思ってしまっていました。

だからこの自体を救うのは、突如ミカサが現れない限り無理か、と思っていたのですが。まさか、でしたね。

先週のラストがミスリードであるとは、夢にも思いませんでした。諫山さん、やらかしましたね、という方もいらっしゃると思いますが、私はアリだと思います。

今月の主人公は、ヒストリアだったと言っていいと思います。

巨人化に伴って現れる骨格。キツい目で見つめるヒストリア。そしてなぜか、巨人化して他の104期たちを救ったときのユミルの記憶。瞠目するヒストリア。幾重にも重なる過去の記憶。ヒストリアの存在がすごく重層的なものであることが最初のページでよく表されていると思います。

そしてカットバックで続く、ユミルとの記憶とヒストリアの姉・フリーダの記憶。正直に生きていないことをクリスタに突きつけるユミルの記憶と、優しさの背後に鬼のような形相で「柵の外に出るな」と叱りつけるフリーダの記憶。そんなことを思い出して、ヒストリアの心に、疑念が浮かんだのですね。

「どうして姉さんは(巨人と)戦わなかったの?」と。

これは、レイス卿の過去の事実を語る言葉を聞いてから、皆持っていた疑問だと思います。巨人を操る力があるなら、巨人を滅ぼし巨人の脅威を排除する力もあるはず。なぜそうしなかったのか、と。

ヒストリアの記憶のフリーダは、ときどき人が変わったようになって、「私たちは罪人だ」と言って落ち込んだりしたのだと。

このあたり、すごくワクワクしますね。

それに対するレイス卿の答えが酷い。今までもこいつ絶対信用出来ない、と思っていましたが、なんと「壁の世界を創った初代レイスの王は、人類が巨人に支配される世界を望んだ」のだというのです。

・・・酷すぎますね。ある意味予想どおりではあるのですが、予想どおりかよ!という感じです。このあたり、2ちゃんねるやまとめサイトでも以前からそういう説は囁かれていましたが、王家がその元凶、少なくともその片棒を担いでいるという、予想はされても酷すぎる話です。

「この世界は残酷だ、そしてとても美しい」

というのは、ミカサの私がとても好きなセリフのひとつですが、残酷というよりも理不尽きわまりない、美しくも何ともない話です。

目を見開くヒストリアと呆然とするエレン。そりゃそうでしょう。

そしてさらにレイス卿のいうことが酷い。巨人の記憶を受け継ぎ、初代王の記憶を受け継いだレイス卿の父、弟、娘フリーダは全知全能の「神」であり、人類が滅ぶ定めにあるのか生きる定めにあるのかは神に委ねられており、「私の使命」は「神をこの世界に呼び戻し祈りを捧げる」ことにある、というのです。

一見説得力があるように聞こえる、というかこの歪んだ時空の中にあっては読んでいる方もそれが真実だと受け取り、説得力を感じかねないセリフかもしれないとは思います。

ヒストリアの中で全ての情報が整理されて行く、自問自答の中で、何を選ぶべきなのか澄んだ目で考えているヒストリアの表情がとてもいい。そして何を選択し、どう行動するか、読者が固唾をのんで見守っているヒストリアの記憶に、ユミルの言葉が響きます。

ここが最高でしたね。ユミルファンは涙を流して喜んだのではないかという気がします。

「クリスタ。お前の生き方に口出しする権利は私にはない。だからこれはただの私の願望なんだがな。お前…胸張って生きろよ。」

あの、皆の前で巨人に変身する直前の、ユミルのセリフが、こんなところで超重大な展開をもたらすなんて、誰が思ったでしょうか。これが、今回の表題でもある「願い」だったのですね。

ヒストリアは、注射器を投げ捨てたのです。破れて散らばる液体。激昂するレイス卿。父を投げ飛ばすヒストリア。さすが調査兵、訓練兵団10位(ユミルの策謀があったとはいえ)の実力はダテじゃない!ここはマジでかっこ良かったですね。

「何が神だ!都合のいい逃げ道作って都合よく人を煽動して!」

上着をはだけてシャツが露わになって怒れる巨人のように父を見下ろすヒストリア。この場面のヒストリアは涙が出る程よかったです。

そして父の鞄を取り上げ、エレンに近寄り、エレンの縛(いまし)めの鍵を外そうとするヒストリアに、エレンは「早くオレを食ってくれ!もう辛いんだよ生きてたって!」と叫びます。情けないよエレンくん。

そんなエレンをぶん殴るヒストリア。「うるさいバカ!泣き虫!黙れ!」もう最高です。

「エレンをここから逃がす!そんで全部ぶっ壊してやる!」

全部とは何か。人類なんか巨人に滅ぼされたらいいんだ!と叫ぶヒストリア。全部ぶっ壊す、というのは、どこまでを言ってるのかすでによくわかりませんが、なんだかこの猛り狂うヒストリアを見られたことがほんとうに今回の収穫だと思いました。ここまでいいこいいこで来て、暗い面も見せていたけれども、その中にはこんな激情を秘めていた。もうヒストリアの独壇場です。

一方、娘にすべてを否定されたレイス卿。父と弟、そして娘の名を呼びながら、注射器の中身を口にすると、瞬時に巨人化してしまう。この見開きもものすごいものがありました。

「オレがこのまま食われちまえばいい」というエレンに、ヒストリアは必死でエレンの縛めを解こうとする。そして言うのです。

「私は人類の敵だけど、エレンの味方。いい子にもなれないし神様にもなりたくない。でも自分なんかいらないなんて言って泣いてる人がいたら」フリーダとユミルの顔。「そんなことないよって伝えに行きたい。それが誰だってどこにいたって、私が必ず助けに行く!」

意志。

それがヒストリアの意志なのですね。

すべての謎を知った上で、「自分であること」を選択したヒストリア。「胸を張って生きる」とは、「自分であること」以外にはあり得ないわけですね。

自分は誰か、父の意志にも、初代王の意志にも、他の人間の意志に従って生きるなんてまっぴらごめんだ。そんな「クリスタ」としての生き方に、決別したヒストリア。しかし、レイス卿の巨人化の爆風によって吹き飛ばされてしまう。

そこに駆け寄ったミカサ。ここも凄くいい。ついに調査兵たちが現れたわけです。ヒストリアから鍵を受け取ったミカサはそれをリヴァイに渡し、ジャンとコニーと3人でエレンの縛めを外そうとします。レイス卿の巨人化の衝撃・・・というかレイス卿があまりに巨大すぎる巨人になってしまったために、天井が崩落してしまう。礼拝堂の地下の天井が、現れた巨人の腰の高さよりも低い。

ケニーが「結局てめえも巨人に無知だってことは良ーく分かったぜクソが!」と叫びますが、そこにやってきた中央憲兵たちまで下敷きになりそうな状況になってしまいます。

「オレを食うんじゃなかったのか…?」と呆然とするエレン。確かにエレンの立場からすればもう何がなんだか分からなくなってるでしょうね。ここのエレンにはすごく共感しました。

みんな死ぬ…と思い、「ごめんみんな、オレは役立たずだった」というエレン。その目の端に鞄から転がった「ヨロイ ブラウン」と書かれた小瓶が…

心臓がバクバクしますね。

エレンは「もう逃げ場はない」というのを聞いて、ヒストリアがいいます。「何もせずにこのままみんなで仲良く潰れるか焼け死ぬのを待つの?私達が人類の敵だから?」と。

・・・・・・そうか。

「私達」

この「私達」というのが何を意味するのか、最初よくわかりませんでした。ヒストリアとエレンのことなのか、と最初は読みましたが違いますね。

「私達」というのは、調査兵団のことなんだ、と私は思います。

そうですよね?

少なくとも、この時点でヒストリアは、そこまで行ったのではないかと思います。「人類の敵」というのはこの場合、「王族たちの敵」ということと等しいと考えていいのではないかという気がします。

そしてリヴァイは言います。「毎度お前にばかり…済まないと思うが エレン。好きな方を選べ」と。

エレンの記憶に、旧リヴァイ班とともに女型の巨人に襲われたときの記憶が蘇ります。ここも泣けますね。自分を信じきれず、旧リヴァイ班を全滅させてしまったエレン。そしてそのエレンに選択を迫る、委ねる冷徹で、そして優しいリヴァイ。

エレンは「うわああああ!」と叫び、「最後に一度だけ許してほしい。自分を信じることを」と心の中で思い、「ヨロイ ブラウン」と書かれた小瓶を噛み砕きます。

そして巨人化。

ヨロイ、ブラウンとは、もちろん、「鎧の巨人」に変身する「ライナー・ブラウン」を意味するのでしょう。ライナーも、この小瓶の注射によって巨人になったのでしょうか。そしてすでにエレン巨人に変身する能力を持ったエレンが、別の小瓶の液体を吸収したら、どうなるのでしょうか。

鎧の巨人は、関節以外の全ての皮膚が硬化していて、「壁」をぶち抜く硬さをもっていました。だから、もしエレンが鎧の巨人になることに成功したら、落下してくる天井からエレンやミカサ、ヒストリアたち調査兵たちを守ることが出来るかもしれません。というか、その可能性に賭けた、としか思えませんね。

雑誌の最終ページの目次のコメントには、諫山さんが「こんだけのページ数を重ねても地下から出られないとは・・・」とぼやいています。今回は次の単行本のラストに当たる回ですから、ちょうどクライマックスをラストにもってきた感じですね。

今回は、重い上にも重い重荷をこれでもかと背負わされてきたヒストリアが、ついに吹っ切れた猛り狂い方に、とても感動しました。そして情けなくなってしまったエレンの、最後の決断。ラストのアオリが「希望よ膨れ上がれ!」ですから当然ながら明るい展開が予想されますよね。(これがミスリードだったらさすがにヒドい・笑)

今回はすごく良かったなあと思います。

こうして見ると、前回のエレンの絶望があってこその今回の展開だなあと、またやられたなあと思うのでした。

そして、巨人のことについてほんとうはよく知らなかったロッド・レイス卿の悲惨さ。巻き込まれてしまった中央憲兵。レイス卿に関しては、この親父絶対おかしいと思っていましたが、まさかこんなことになるとはという感じです。何ていうか、諫山さんの作劇には権威とか権力というものに対する絶対的な不信みたいなものがものすごく色濃くあると思うのですが、レイス卿がこんなことになるというのもまさにそれなのですが、さすがに意外でした。ほんとうに毎月、想像の斜め上を行く展開を見せてくれるなあと思います。

いやあ面白かった。来月も、楽しみにしたいと思います。
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