個人的な感想です。

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コミックリュウ4月号でふみふみこさんの『ぼくらのへんたい』第31話「ブルー・ラヴァー・ブルー」を読みました!


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(2015/02/19)


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コミックリュウ4月号でふみふみこさんの『ぼくらのへんたい』第31話「ブルー・ラヴァー・ブルー」を読みました!

ここのところ明るい(と言い切るのも難しいが)展開が多かった「ぼくらのへんたい」ですが、今回は亮介をめぐっていくつかの出来事がありました。

私は「まりか=裕太」が好きだなと思うのですが、一番自分の中の何かが投影出来るとしたら亮介だなと思いますので、亮介をめぐる出来事はいろいろ思うことが多いです。

今回の扉は亮介の「彼女」である、はずの「はっち」。下を向いて少し寂しそうな顔をしています。前回出てきたときの彼女は、下駄箱で亮介が「まりか」と楽しそうに話しながら出て来るところを目撃してしまっていたのでした。

今回はまず、学校、中三の亮介のクラスの話から。登場人物は亮介とそのツレの二人、堀と平田。それにはっちと前回の登場の時やたら亮介にべたべたしてはっちが警戒していた杉山さんの5人。いきなりその杉山さんが堀(ほっしゃん)と付き合ってると言う亮介にとっては衝撃の事実を告げられて空いた口が塞がらない亮介、という場面からでした。はっちは「やっぱ気になってたわけ?」と亮介に鋭い目?を向けて亮介は「ちげーよばか」と言いながら、心の中で(お前に言われてからちょっと意識してたんだよ)とか思います。この辺よくわかって可笑しい。言われなきゃなんにも思わないのに言われると余計なことを考えたりしますよね。(笑)

今度は杉山がまた亮介の二の腕を取って「りょーちんはどこ行くか決めたの?」と聞きます。イラっとするはっちですが、亮介の答えが回りに波紋を呼ぶことになってしまいます。

「北上高校」

それは、ハイレベルの男子校。パロウ=田村修の通っている学校ですが、どうも亮介はそれを知らないらしい。「りょーちんてそんな頭よかったんだ〜」とビビる杉山、すげえなと言われながら、「はっちと学校別々じゃん」と言われて下を向くはっち。でも「別に。あんたたちとは違うから」と言い放ち、「ちょっと来て」と亮介を階段に連れ出すはっち。このへんのドスの効いたはっちの行動、よくわかる、というか修羅場の予感、を漂わせていますね。

どの高校に行くか直接聞きたかった、というはっち。まあそうですよね。でも亮介にはそういう、というかつまりはっちのことを考える余裕がなかった。「一緒の学校行きたい、行けたらいいなと思ってたよ」、というはっち。ごめん、と謝る亮介に「謝るってことはりょーちんはそうじゃなかったってことだよね。」黙っている亮介に「何も言えないんだ」というはっち。

・・・・・・コワい。(笑)絵に描いたような(描いてるんですけど)典型的な修羅場。こんなふうに修羅場れるのはやっぱり女の子、最も女の子らしい女の子であるはっちならでは、だなあと思います。自分の望みと、彼氏の望みを重ねたい。でも彼氏はどこか上の空。幸せだったはずなのに、いつの間にか不安と不信が大きくなって行ったときに起こる、典型的な修羅場状態。こういうの、なかなか上手く描けそうで描けない気がします。すごくリアルで、こういうのって絶対ある、と思うのですけど、実際にそれが上手く描けてるなあと思った例は今まで記憶にありません。ふみふみこさんはこういうの、とても上手いなと思います。

そして何か決意した顔のはっちが、「ねえ、ほんとに私のこと好き?」と聞きます。亮介にとって、一番切り込まれた質問でしょう。でももちろん答えは決まっている。「好きだってば」と。

はっちは大声を出します。「やめて!私ばっかじゃん。私ばっかりょーちんのこと気にして、私ばっか好きで」・・・こういうのって確かに、どっちの立場にあっても辛いことですよね。特にはっちのように、典型的な女の子であれば、影のない愛情を求める気持ちもよくわかるなと思います。亮介がいろいろと問題を抱えていることは分かっていても、やはり自分のことをもっと見てほしい、それが杉山ならともかく(負けないと思うでしょうから)「まりか=裕太」が相手では戦いようがない。結局、「別れよ」と言い出します。

でも何か、期待が残っていたのでしょう。でも亮介から返って来る返事は「ごめん」だけ。立ち去るはっち。自分は何をやってるのだろう、と顔を覆う亮介。学校の裏で一人泣いているはっちに、近寄ってきたのは平田でした。平田は二人のやり取りを見てた。怒るはっちに、「俺らだってりょーちんと同じ学校行きたかったっつーの」と涙ぐむ平田。「なんであんたが泣くのよ」と怒るはっちに「寂しいじゃんかよ」と言われてぼろぼろ涙をこぼすはっち。その表情を見つめる平田の顔。あーあ。平田くん、はっちのことが好きなんだな。「泣きたいのは私なんだからね!?」と理不尽な怒りをぶつけるはっちにたじたじとする平田ですが、このへんのやりとり、もうほんとうにいいなあと思います。

亮介のように、自分にとって大事なことは何でも一人で決めてしまうタイプは、はっちのような関わりを求めたいタイプにとっては辛いでしょうね。そしてその思いに答えられない亮介も、自己嫌悪に陥ってしまう。それもよくわかりますが、でも仕方ないんだよなあ、と思います。

一方、まりかと亮介。亮介の顔には何となく泣いたあとがありますから、このときの直後なのでしょうか。受験のお守りを(あかねとふたりで)買いに行ったのでした。「がんばって」というまりかに「サンキュ」と答える亮介。・・・・・いやまあ、受験の前日に修羅場ってどうなんだ、と思いますが、実際そういう設定と考えていいんでしょうかね。どんなものなんでしょうか。でも、亮介の受験日を知ってたということは、LINEかメールか直接会ってかは分かりませんが、やり取りがあったということですね。この間のこの二人のやり取りも気になります。

そして北上高校に受験に来た亮介。Vネックのセーター、私服で受験する亮介。周りは制服も私服もいます。高校受験って、全員制服かと思ってたんですけどそうでもないんですかね。私立は受験したことないから分からない、というのが本当なんですが。このときの亮介の目は、何か澄んだものが感じられます。

そして受験当日、中2の教室であかねと話すまりか。まりかはこの時初めて、北上高校がパロウの通う学校だということを知ります。まあそんなものなんですかね。まりかは「そうなんだ」と言いつつ、(唯さん(亮介のこと)知ってるのかな)と思います。このときのまりかのセーラー服の首周りの描写がかわいい。ふみさんの絵は本当になんでもないところにすごくリアリティを感じることがあって、すごいなと思います。

「裕太もおんなじガッコ行きたい?」と尋ねるあかね。これは先月号で、パロウとともちと三人で話していたときに出た話題でした。この間、あかねも何か考えることがあったのでしょうか。あかねは、先月号では「裕太は無理じゃないかな、学力的に」と言って否定しようとしてましたが、今回はわりとシビアな顔して尋ねます。「行きたいかも」というまりかに、「男子用の制服しかないんだって」というあかね。そりゃ男子校ですしね。下を向くまりかに「フッ」と笑顔になるあかね。本当にパロウのこと好きなんだなあ、と思ったのでしょうか。「裕太も塾行きなよ」と言います。

まりか=裕太は、やっとの思いで自分の生きたい性、つまり女の子として生きることを選択した。なのに、心を許せる女装の友達、パロウ(田村修)だけでなく唯(木島亮介)も同じ男子校に行ってしまう。パロウに「ユイさんパロウさんの学校受験したみたいですよ」とLINEを送ると、「そうなんだ」のメッセージのあと、「知らなかった」と重ねてメッセージを送ってきたパロウ。何かそこに、喜びと言うか嬉しさみたいなものが感じられますね。

校門の外で、自分はどうしよう。と思うまりか。自分のはいているスカートをつまみます。自分らしさを、自分の好きな人と同じ学校に行くために犠牲にするのか。それとも。

と、そこにユイ(亮介)の声が。電話で、何か切迫した話をしている亮介。まりかが呼びかけると、亮介は真っ青な顔をしていました。「どうしたの」と尋ねるまりかに、「退院して、田舎に帰っていた母さんが、倒れた」と答える亮介。下を向いている亮介にまりかは、意を決して言います。「何やってるの、すぐ会いに行かなきゃ。」と。

ここで、亮介が溜まりに溜まっていた思いを全部吐き出します。

「嫌だよ、会いたくない。ずっとあいつのためにねーちゃんのカッコしてたのに、俺が誰かも分かってなかった。ねーちゃんだとも思ってなかった。」それが一番ショックだったのですね。「あれだけやったのに、何のためにオレ」という亮介に、「だめだよ!」と強い声で言うまりか。「絶対会いに行かなきゃ!」そして、ここで最もまりからしい一言が出ます。「どうしてもやだって言うなら私も一緒に行くから!」と。

うーん。今月も凄かったなあ。

先月号で亮介のお母さんが退院し、岡山の実家に帰っているという話がお父さんからあって、なんだか良かったなあと思っていたのですが、まさかこういう展開になるための伏線だったとは。いやまあ、こうなって初めて伏線だったのだなと思うのですが、伏線というよりも亮介の心の中にちょっと余裕と言うか空間が出来た感じになって、それで初めて「北上高校を受ける」という決心が出来たのでしたよね。そしてその受験の当日(でしょうね)にこんなことが。本当に展開が上手いなあと思います。

そして、まりかとはっちを否応なく比較してしまいます。

精神を病んでいた母のために女装して亡くなった姉の身代わりをしていた亮介=ユイでしたが、あるとき家に訪ねてきたはっちが亮介の母の酷い状態を知り、自分の両親を呼んで無理矢理入院させたのです。いわゆる措置入院でしょうね。亮介が母の酷い状態につきあっているのをやめさせたのははっちで、でもそのときに結局亮介は母に「誰だお前」と言われて心に大きな傷を残した。亮介は、はっちに感謝をしているとは思いますが、でもやはり整理しきれない思いももちろんあったのだと思います。はっちは何度も病院にお見舞いに行ったようですが、亮介自身は一度も行かなかった。亮介自身も、頭ではこういう解決しかなかったのだろう、と思ってはいても、どうしても納得出来ない何かがあったのでしょうね。

普通の男の子らしい思いから、まりかのような「女の子」にはなりたくない、と思い、その思いからはっちと付き合い始めた亮介。でも結局心ではまりかに引かれていて、自分は何をやってるのだろうと思っている。一番引き裂かれていると言うか、心と行動がばらばらなのが亮介で、何かやはりそういうところに引かれてしまいます。

まりかは、恋心としてはパロウが好きだけど、でも友達と言うか、本当に話せる相手として、と言えばいいのでしょうか、やはりユイ=亮介のことをかけがえのない存在だと思っている。黒い気持ちのパロウに抱かれそうになっても、「パロウさんをそんなふうにした人が許せない」と泣く。それと同じ気持ちで、「お母さんのところに行ってあげないとだめだよ」とユイに言っているのですね。

はっちが「愛の人」なら、まりかは「献身の人」、と言うことでしょうか。私自身は、まりかの方はよくわかるなあと思いますが、はっちの方は分かりきれないところがありますね。自分がこうだから、こう思っているから相手にもこうしてほしい、というのよりも、その人のためになるのはどういうことなんだろうか、ということが一番大事だと思う方が理解出来る。まあそこで、「自分の思い」がでてくるのが女の子で、「自分のことは別にして」と思うのが男の子、という気もします。いや、決めつけるというのではなく、少なくとも知っている限りではそういう人が多い感じがする、ないしは「女らしさ」とか「男らしさ」と言われているもの(概念と考えてもいいですが)の本質というのも、そういうところにあるのではないかと思ったりします。

この辺のところ、皆さんそれぞれの思いがあるのではないかという気がします。男らしさとはこういうこと、女らしさとはこういうこと、とか、ないしは「そういうものはない」という主張もありますが、そういうこと以前に、実際にどうなんだろうか、ということを描いているという点で、この作品は本当に凄く考えさせられるところがあります。

そして進路が違って行くことによって離ればなれになって行く思いというのは、誰もが経験することですよね。

いろいろな意味で、今月もじっくりと読ませていただきました。
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