個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

別冊少年マガジン7月号で諫山創さんの『進撃の巨人』第70話「いつか見た夢」を読みました!新展開にわくわくしました!

別冊少年マガジン 2015年7月号 [2015年6月9日発売] [雑誌]
講談社


別冊少年マガジン7月号で諫山創さんの『進撃の巨人』第70話「いつか見た夢」を読みました!

諫山創さんの「進撃の巨人」、6月27日には劇場アニメ版後半が公開になり、8月1日には実写版前半が、9月19日には実写版後半が公開になるなど、作品をめぐる動きが急になってきました。すでに原作で何千万部も売り上げ、「社会現象にもなっている」とされている作品ですから当然と言えば当然ですが、この作品をめぐる世界がどれだけの規模に広がって行くのかもとても興味深いです。

今月号ではアニメバージョンのB5版「特製クリアファイル」が付録。(雑誌では「特典」ではなく「ふろく」なんですね)描かれているのはリヴァイ兵長とミカサの「アッカーマン」コンビ。調査兵団でも最強の戦力の二人ですが、リヴァイがエレンを(世を欺くためですが)メタメタにしたため、ミカサはリヴァイをいまだに内心恨んでいる(マンガのコマをよく見るとミカサの表情にそれがよく現れています)わけです。しかしこの二人も思わぬ血縁が明らかになり、(劇中人物がそれをどの程度知っているのかはわかりませんが)こちらの方面でもこのエピソードが物語の展開にどう絡んで来るのか大変楽しみです。

さて、今回も中身について触れながら感想を書きますので、別冊マガジン本誌をお読みいただいてから読んでいただければと思います。

69話ではケニーの回想とリヴァイとの会話により様々な事実が判明する一方で、ヒストリアの女王即位が実現したところまででした。

70話冒頭では、「ヒストリアの夢」が実現します。それは、この壁の中で生活に困窮している人たち、孤児たちを牧場(自分が育ったレイス家の牧場でしょうか)に集めて面倒を見る、「困っている人がいたらどこにいたって見つけ出し、助けに行く」ということを実行しているのですね。王室の公費やクーデターにより捕らえられた議員たちの資産を没収したものをその費用にあてている。それは、王都の地下街(スラム)育ちのリヴァイの後押しもあり、その実現によって貴族の反発よりも民衆の支持をあつめることでよりクーデター政権の基盤を固めることになりました。その話をヒストリアから聞いたエレンがアルミンとジャンに話しています。「これがヒストリアのやりたかったことなんだ」と。

冒頭では、ヒストリアの即位から2ヶ月後。104期たちはその牧場に来ているのですね。ヒストリアは巷で「牛飼いの女神さま」と呼ばれている、とアルミンが言います。何というか、クリスタは104期訓練兵たちの間でも「女神」と呼ばれていましたが、ヒストリアを名乗ることで本当の自分を取り戻し、自分に正直に生きると宣言した訳ですが、なんだ結局女神さまなんですね、という話になってるわけです。この収め方は、正直虚を突かれた、というか感心しました。普通なら「本当の自分」は見せかけの自分とはかけ離れたもの、と描き出すことが多いと思いますが、全然方向性が違う。自分に正直に生きて、それで女神さまだ、というのはやられたなあと思いました。

かいがいしく働くヒストリアはジャンやアルミンたちも何かを運ばせ、「またサボってる!」とか言っていて、ジャンが「あいつなんか俺のかーちゃんに似てきた」アルミンが「女神様・・・」と何かうつろな目をして言っているのが可笑しいです。エレンはヒストリアと、これからのこと、シガンシナ区奪還の戦いの際のことについて話しています。「どうしたいの?ライナーとベルトルトともう一度会うことになったとしたら」と聞くヒストリアに、エレンは「奴らは殺さなきゃ・・・ならない」と答えるのでした。「私達が初代王の力を否定したこと、後悔するわけにはいかないから」というヒストリアにエレンは「お前は立派だよ」と誉めるのですが、ヒストリアは何か赤い顔をして「・・・そんなこと」と言っていい雰囲気になりかけますが、そこに怖すぎる顔をしたミカサが現れ、エレンの荷物を背負ってヒストリアと一緒に行きます。このミカサの表情にヒストリアが心底びびっているのが可笑しいですが、微笑ましい日常回のエピソード(笑)でした。

今までのレイス家の「真の王」たちは、「初代王の思想」を受け継ぐ(「始祖の巨人」の力を持った前代の王を次の「真の王」が喰うことによって)ことで、人類を壁から出さず、「壁の中の平和」を守ってきた訳ですが、調査兵団はクーデターを起こし、ヒストリアを女王とすることでその「初代王」の影響を断ち切る(レイス家が始祖の巨人の力を持たない)ことによって、「巨人を討伐し壁の外へ人類が出て行く可能性」を追求することにした訳です。もう引き返せない。「後悔するわけにはいかない」というのはそういうことですね。

そしてクーデタとヒストリアの即位後の政治の動きが簡単にまとめられています。旧体制の議員および関係者は収容所送りとなり、それ以外の貴族たちは税を課せられるようになる。収容所でほっとした顔をしているのは中央憲兵のサネスでしょうか。中央憲兵が隠匿していた科学技術は兵団に取得され、レイス家領地の光る石は照明に使われるようになります。

そして、エレンが得た硬質化能力は対巨人兵器の開発に活用され、トロスト区での実験に成功します。

盛り上がるハンジですが、エレンは硬質化の実験をやり過ぎたためか鼻血を出し、リヴァイは「こいつが生み出す岩が無限にあると思わない方がいい。こいつの身を含めてな」とハンジに釘を刺します。謝るハンジにエレンは「ウォール・マリアさえ塞げば、こいつで巨人を減らし、巨人を一掃出来る。早く武器を携えて行きましょう、シガンシナ区へ」と言うのでした。

そしてザックレーを中心にした政府の会議風景。首脳連に混じってピクシス、エルヴィン、ハンジ、リヴァイも参加しています。シガンシナ区への夜間順路開拓状況を尋ねるザックレーにエルヴィンは一月以内に全ての準備が完了する、と答えます。「ウォール・マリア奪還の大義のもと、多くの兵士の命が失われたけれども、失われた兵士の魂が報われるよう死力を尽くして挑む」と決意表明するエルヴィンに、「シガンシナの地下室に君の望む宝が眠っていることを祈っているよ」と答えるザックレーですが、何だか表情が変です。「エルヴィンの望む宝」とは一体なんなのでしょうか。シガンシナ区のグリシャ・イェーガーの地下室に眠っているのは「この世界の秘密」だと思っていたのですが、それが一体どういうものなのか、大変気になります。政府幹部に「何かご進言でも?」と聞かれて「いえ何も。おっしゃる通りかと」と敬語で答えるリヴァイも静かすぎて不気味です。

まあ、今までのリヴァイの反抗的な行動は権力を持っていない側のパフォーマンスという面が強かった訳ですが、真の権力を握った今となっては返って下手に出ている訳で、その辺も人間関係の表現の機微があるなと思います。

会議の解散後、今度は秘密会のようです。いるのはザックレー、ピクシス以外にエルヴィン、ハンジ、リヴァイ。ケニーからリヴァイに託された例の「巨人化する注射」ですが、ハンジも成分分析は出来ない、ということになり、それならば当初の目的、つまり「誰かを特定の能力を持った巨人に」するために使うしかない、ということになります。それを託されたリヴァイはエルヴィンに「お前の夢ってのが叶ったらそのあとはどうする」と尋ねます。エルヴィンは「わからない。叶えてみないことにはな」と答えます。それを聞いて、リヴァイはその注射をまかされることを承諾します。

エルヴィンの夢というのは何なのでしょうね。本当に。

ザックレーは例の「芸術」を披露したい、と言いますがピクシスは言下に否定し、ザックレーが「芸術をわからん奴らめ」というのが可笑しいですが、まあ妥当でしょうね。(笑)

そして兵舎で食事をしている104期たち(ヒストリアはいません)とマルロ。マルロだけでなく104期の同期たちもかなり調査兵団に入ってきて、世間はウォールマリア奪還に向けて盛り上がっていることが示されます。しかし104期たちは全く浮かれた顔をしません。「いったい何があったんだ?」と聞く彼らにジャンが「聞きたいか?」と尋ねると彼らは引いてしまいます。マルロはヒッチにかなり引き止められたのですが、調査兵団に入った。それはマルロがマルロには安全なところで自分と一緒にいてもらいたいというヒッチの気持ちに全く無理解だからで、ジャンやアルミンやサシャにバカにされますがマルロは気がつきません。その点でエレンとマルロはよく似ています。

もちろん、主人公としてこれまで修羅場を踏んできている分だけ、エレンの方が人間性の広がりがあるのは当然なのですが。

次の日は休日、ということでコニーはラガコ村に帰る、と言います。コニーは家族を「獣の巨人」に巨人にされてしまったのですね。(9巻参照)今回はずっと続いてきた王政編が先月で一段落し、また巨人との戦いに戻るということで、だいぶ回想シーンが多いです。その話をリヴァイ兵長に聞いて落ち込むコニーと戦慄する104期たち、ユミルが60年以上の間壁をうろつく巨人だった、終わらない悪夢を見ているようだったとベルトルトと話している(12巻)記憶をハンジと再確認している場面(14巻)の回想をしながら、エレンは堂々巡りのような問いをみんなに話します。

「俺達が戦ってる敵は何なんだろうな。つまり巨人ってのは、悪夢にうなされ続ける人間ってことなのか?俺も一時はそんな巨人になってたはずなんだがな。ちっとも思い出せねえよ。あるのは俺に喰われる親父から見た…」

そこまで話してエレンはミカサに「おしゃべりは食べ終わってからにしなさい」とたしなめられ、エレンはミカサとエレンの両親で過ごした平和な日々を思い出し、そんな話は聞きたくないんだろうなと思ったのか、「ごめんな…ミカサ」というのでした。そしてアルミンは「…悪夢だけじゃないよ。きっと壁の向こう側にあるのは」と言います。このあたり、何だかしんみりしてしまいます。エレンのお父さん、「イェーガー先生」に頭をなでられている図は、やはりミカサにとってもかけがえのない記憶だろうなと思ったのでした。

そんな感傷にふけっているシガンシナ組にジャンは、「お前が思い出さなきゃ行けねえのは「あの男」だろ。洞窟で記憶を掘り返されたとき見たんだろ?あの日洞窟から逃げる親父さんと会っていた、調査兵団の男ってやつを」と言います。これは15巻のラスト62話のことですね。

・・・これは実は、私は62話の時点でネットで話題になっていたことでもあり、この男が誰であるのかはその時点で気がついていたのですが・・・

しかしエレンはまだ思い出していない。「あの日あの状況で父さんと会っていたんだ。必ず何かを知っているはずなんだ。そもそもあの男、俺もどこかで見たことあるはずなんだ」というエレンに、「頭をどこかにぶつけてみては?」というサシャのボケに「教官の頭突きをくらえばいいんだよ」と突っ込むジャン。激しかった訓練生時代の記憶が蘇り、エレンははっとします。あのスキンヘッドの教官(4巻)。幼い日に見た調査兵団の団長(1巻第1話。「何の成果も得られませんでした!」という衝撃的なセリフの人物です)。そう、それは、エレンが見た人物と同じだったのです。

キース・ジャーディス。それが、エレンが(父親の記憶の中で)見た人物だったのです!

先ほど書きましたように、そのことには62話の時点で私は気がついていました。

しかし、教官=元調査兵団長キース・ジャーディスがここまで重要な鍵を握る人物だったとは全く気がついていませんでした。

調査兵団の先代団長と訓練兵団の教官が同じ人物であるということはTVアニメで声優が同じ人が演じ、同じ役名が与えられているのを見て初めて気がついたことですし、本編ではずっとその件については出てきていませんでしたが、時間的に「リヴァイの調査兵団参加」を題材にしたシガンシナ陥落前のストーリーである「悔いなき選択」で実直な調査兵団長として出てきていました。

そう、そして何より、「ずっと回収されない伏線」として、キースはエレンが立体機動装置の訓練をするためのバランスを取る練習をクリアしたとき(4巻16話)に、心の中で「グリシャ、今日お前の息子が、兵士になったぞ」と言っている、というものがあったのですね。ですから、キースがエレンの父、グリシャ・イェーガーと面識があった、ということはずっと知ってはいたのですが、それが一体どこにつながるのかは全然見当がつかなかった。15巻ラストの62話で彼が再び、1コマだけ出てきたときに、これも何かにつながるはずだと思ったのですが、それももう半年以上放置されていました。ここに来てようやくキース関連がつながった訳です。

そして、それはどうやら重大な内容を含んでいる、らしい。

「明日、行くぞ。キース・ジャーディス教官のところに」というエレンに、冗談もわからないのかという顔をして下を向くジャン、アルミン、ミカサ、サシャの顔が可笑しいです。彼らも訓練終了後いくたの修羅場をくぐり抜けてきたのに、今なお教官が苦手なんでしょうかね。(笑)

それにしても急にある人物が重大な存在になるというのは、そして実はそれまでにも伏線が張り巡らされてきていたというのは、この「進撃の巨人」にはよくあることなのですが、ここに来てキースが、というのは本当に舌を巻きました。1巻1話に出て来る人物ですからねえ、キースは!

そしてページをめくると、ドドン!

見開きのページで、巨大な「獣の巨人」によってライナーの「鎧の巨人」が完膚なきまでに叩き潰されています!「ライナー!」と声をかけるベルトルトの姿。この構図がすごい。左下に小さなベルトルト。でもベルトルトも2メートルくらいある大男なんですよね。そしてページした半分に叩きのめされた鎧の巨人。これは15メートルくらいあるはず。そしてその後ろにしゃがんでこちらを見下ろしている「獣の巨人」。この3人の顔が斜めに一直線上に並ぶ構図で、遠近法により「獣の巨人」の巨大さが際立つように描かれていて、このページはすごいなと思いました。

何しろ、ライナーとベルトルトが最後に出てきたのは12巻50話ですし、「獣の巨人」が本編中に現れたのがラガコ村が巨人に「襲われた」9巻第35話。このときはもう叫びたくなるくらいの衝撃でした。だって巨人が「喋った」んですからね…歴戦の猛者であるミケがショックで腰を抜かし、あっという間にやられ、また調査兵団たちが立てこもったウトガルド城で皆を翻弄した(10巻39話)、あの獣の巨人が、エレン巨人と互角以上の実力を持つライナーの鎧の巨人を完膚なきまでに叩きのめしている、という衝撃の場面から再登場したのですから、これもすごい衝撃でした。

獣の巨人は喋ります。「勝ったぜ。アニちゃん助けるのは後な。」ライナーを助け出すベルトルト。そして獣の巨人の「中身」が喋ります。「座標の奪取を優先。当然だろ?ここで待ってりゃあっちからくるんだし。」ここはシガンシナ区なのですね。破壊された街並が並びます。

そしてメガネをかけたこの筋肉質の人物は!

あの、「進撃の巨人展」で「これからの展開の鍵を握る人物」として「写真撮影不可」で描かれていた、あの男だったのです!

実に実に。あちこちに沢山張り巡らされた伏線を、ガッと一気に回収しつつ、さらに新しい伏線のタネをまいている。これはすごい。アニメにスピンオフに展覧会まで、全てを読み、参加しているとわかるネタ、というのがこんなにあると驚いてしまいます。

「この男」と「獣の巨人」はライナーたちの「故郷」と関係のある人物であることは確かですね。今は調査兵団に囚われているアニのことも知っている訳ですしね。そしてエレンが「座標(巨人たちを操る能力とイコールなのでしょうか)」を持っていること、そしてやがて彼らがシガンシナにやって来ることもこの男は把握しています。

この男がザックレーに似ている、という説はありましたが、むしろグリシャ・イェーガーに似ている気もするのですよね。ですから、グリシャはもともとライナーたちの「故郷」から来た男だったのかもしれないな、と今回読んで思いました。それがなぜ壁の中の人類を救う立場として動いたのかは全然見当もつかないので説明できませんが…

今回は王政編から180度展開して再び巨人との戦い、特に今回は人類側の攻勢である、「ウォール・マリア回復」に向けての戦いになる訳で、じっくりとその舞台を整えた回だったと思います。しかしネットにおいては非常に評判が高い。いやもちろん私も面白かったのですが、ものすごいアクションシーンがあったとかものすごい告白があったとかそう言う訳じゃないんですよね。

「進撃の巨人」も最初の頃は全く意表をつく展開が次から次へと出てきていたのですが、最近では伏線をどう張ってどう解決するのか、ということがだんだん見えやすくなってきました。しかし、その度に斜め上の展開になるのは、諫山さんが天才だから、というしかないのかなと思ってしまいます。

今回は本当に盛り上がりました。

来月も楽しみにしたいと思います!
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