個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

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大場つぐみさん・小畑健さんの『バクマン。』全20巻を一気読みしました!超面白かったです!

大場つぐみさん・小畑健さんの『バクマン。』全20巻を一気読みしました!超面白かったです!

バクマン。 カラー版【期間限定無料】 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
大場つぐみ・小畑健
集英社


『バクマン。』、土曜日から読み始めて月曜日の午後に全20巻を読み切りました。今2周目に入っています。マンガ史に残る作品だと思います。

内容がともかく面白い。それは当たり前なのですが、ある時代の少年ジャンプ、日本のマンガ界をリードし続けて来たこの雑誌のある時代の雰囲気をみごとに切り取っていると思いますし、また確立されたマンガのシステム・・・例えばアンケートシステムや編集者と二人三脚で作品を作って行く日本独自のマンガの作り方、それに対する肯定的な意見と否定的な意見とを両方から検討してみせている。それでいて決して理屈っぽい作品ではない。マンガ愛に溢れた熱い作品で、友情・努力・勝利の少年ジャンプの方程式を完膚なきまでに体現し、第1話から予想されるラストでありながら、というかそれ故に、ピッタリ20巻でみごとに完結している。本当に凄い作品だと思います。

そして、マンガのマンガであるだけに作中には多くのマンガ家やマンガ家の卵、編集者、アシスタント、協力者、そしてヒロインの部分では声優の世界も少し垣間見せ、そして何より凄いと思ったのが作中で連載しているマンガ自体がものすごく面白そうだったことなんですね。これだけのプロットが惜しげもなくつぎ込まれている。これらの作品を実際に作ったら、(スピンオフということになりますが)どれも相当面白いんじゃないかと思います。

そして漫画界が抱えている問題も。若い才能がどんどん発掘されて行く一方、人気がなくなった作家は次々に切られて行き、そして年をとればとるほど復活は難しくなる。主人公が14歳から24歳の10年間を描いているのですが、彼らが18歳のとき、「自分たちは決してもう若くない、少なくとも若さの点で特別ではない」と自覚するところなど、ものすごくシビアです。その結果、年をとってマンガ以外の技術のない、元マンガ家が溢れて行くと言う現実も示しているわけですね。

そしてもう一つがネットとの戦い。ネットで悪評を立てる、という悪意ある集団、いわばネットの負の面を描くのはまあもはやこのマンガに限らず最近は定番なわけですが、ネットの明るい面、すなわち「集合知を集め易い」ということを利用して、漫画家と編集者が協力しあって作品を作って行くと言う今のマンガ制作システムを根本から否定したマンガの作り方をして行くという試みが、2回にわたって語られます。これはいわば完全な『敵』というような描かれ方でしたし、まったくの悪意のある登場人物がそれを組織していたから否定的な描かれ方になっていましたが、作中でもそのメリットは十分に認められていて、場合によっては脅威になることも十分あり得る、という見方も成り立ち得るように思いました。

特に二度目に出て来た時にはやり方がより洗練されていましたし、少なくとも感覚が時代からずれて行って上手く話作りが出来なくなったベテラン作家たちに彼らに適したネームを与えて描かせ、それをジャンプに持ち込ませると言う展開は、絶対にアリだろうと思いました。結局ベテラン作家たちがその黒幕に使い捨てられてしまっているから作中の印象は否定的ではあっても、可能性としては十分あり得るんじゃないかと思いました。

そういう意味での扱っているネタがひとつひとつ凄いと思うのに加えて、センスも凄いと思いました。特に作中作である「ラッコ11号」。「人間として許しても、ラッコとして許さん!」とか、よく意味が分からないけどむやみに力があるセリフとキャラ。マンガを描きたくないマンガ家とそれを無理矢理操って描かせようとする編集者の凸凹コンビ。ギャグ要素も満載です。

それから、一度もジャンプで連載したことのない50歳の作家が持ち込んだ「パンチラファイト」。美少女戦士たちのバトルで、「パンツが見えたら負け」という超くだらない設定。それがむやみに可笑しい。そしてその先に広がるシリアスな展開。「パンチラファイト」を巡ってこれだけの深い話が展開するというその落差が凄いと思いました。

そして終始一貫壁をぶち破るのに悪戦苦闘する主人公たちと、あっという間にジャンプを代表する超人気作家になってしまう天才マンガ家。キャラクター人気投票ではこの天才マンガ家・新妻エイジが主人公のマンガ家・作画の真城最高と原作の高木秀人を上回る投票を獲得。「シュビーン!」とか「グギャーン!」とか叫びながら四六時中マンガを描いていて、でもマンガに関する嗅覚はまるで神のよう。そういえば羽根を肩から生やして(羽根ペンをつっこんでいるだけですが)いて、ホントに神のようですが、彼が主人公たちのコンビ・亜城木夢叶(あしろぎ・むと)を超ライバル視し、彼なりの仕方で叱咤激励する。

そしてプロの(特にジャンプの)マンガ家が乗り越えなければならないいくつもの関門が、そのままストーリーのヤマになっている。初めての持ち込み、初めての月刊誌掲載、初めての本誌掲載(週刊少年ジャンプとそれ以外では全然意味が違うのですね)、初めての連載獲得、順調に見えた時に無理をし過ぎたための病気、連載生き残りをかけた熾烈な戦い、(サッカーJリーグの残留争いとか箱根駅伝のシード争いのようなものですね)、打ち切りと言う挫折、復活、編集者との確執、そしてさらに上に行く、つまり「新島エイジに勝つ」ためにそこそこ売れているギャグマンガを打ち切ってストーリーに挑戦する、ために編集部に売ったケンカ、その賭けに勝つものの、内容が内容だったので「アニメ化にならない」ことを知る、という挫折。

アニメ化にならない、ということは主人公たちにとって凄く大きな意味を持っている。というのは、第1話で真城最高が同級生で声優志望の亜豆美保(あずき・みほ)に告白する場面、「マンガ家になってアニメ化して、その作品のヒロインの声を亜豆が演じるという夢が叶ったら、結婚して下さい」と言ってしまったからなのですね。そして亜豆はそれを受け入れる。でも、「夢が叶うまで会わない」というのですね。

ですから、とにかく早く連載を獲得し、早くアニメ化したい。その思いが猛烈な彼らの努力にもつながり、それ故の焦りによる失敗も呼ぶ。このあまりに古典的な努力の原動力。主人公たちの純愛もそうなのですが、これは古典的な願望成就のやりかた、「断ち物」ですね。夢が叶うまで酒を飲まない、と断酒するとか、そういうヤツです。この実はものすごく古典的な、というか古風な日本的なものがバックグラウンドになっていて、読者に無意識に主人公たちを応援させてしまうのですね。(もちろんそういうのが嫌いな人もいると思いますけれども。)

しかし「アニメ化にならない」作品でも、どんどん人気は向上して、ついにはエイジのトップの座をうかがえるところまで来る。またここの展開も面白いのですがそれは読んでいただくこととして、さらにその作品に加えて始めた新連載で、ついにアニメ化を獲得する。しかし今度は人気の出て来た声優・亜豆美保を巡るネットでのスキャンダル。本当に最初から最後まで息をもつかせぬ展開なんですね。

そしてそのストーリー全体の背景として、真城の叔父・ジャンプで連載していたけど打ち切りになっても持ち込みを続けていた故・川口たろうと美保の母・美雪との純愛の挫折がある。それは今までよく物語で語られていた挫折のパターンですが、その古い世代の挫折の物語を若い主人公たちが敢えて越えて行こうというのも感動的です。

そして読み返してみて思ったのですが、始めの頃に出てくる中学生の真城と高木、それに亜豆もそうですが、あんまり魅力的でない。(笑)なんか今時のいやな中学生という感じなんですね。でもその辺が、読者にとっては感情移入しやすいのかもしれない。でもそのいやな中学生たちが、目標を持って、大人の世界で戦って行くうちに、その子どもらしいこだわりみたいなものが浄化されて行き、ついには目標達成のために驀進する火の玉のような感じに(それでいて冷静な策略家たちなのですが)なって行くところが凄いんですね。

私は実は5年前に2巻まで買ってあったのですが、最初の頃のそのいやな感じを乗り越えることが出来なくて、1巻の途中で読むのをやめてしまっていたのです。

しかし、この『バクマン。』今(2015年10月)、実写映画が公開されていますね。あちこちで映画評も出ていて評判も上々のようですが、私も『週刊漫画Times』で映画評を読み、これは面白そうだなと思いました。それで読み返してみて、その圧倒的な面白さに驚いたわけです。

いずれにしても、この作品は凄い。20巻を一気に読み切ってまだ全体像をつかみ切ってはいないし、これからまた何度か読み返してみて、新たな感想や新たな気づきも出てくると思うのですが、のですが、まずは初めて読んだ時点での感想をアップしたいと思い、荒削りですが書いてみました。

現代的なものを古典的なパッケージに包み、子どもが読んでも大人が読んでも面白いものにした、凄い作品だと思います。前を向いて自分の道を歩くことの大切さ、その時にしか出来ないことを全力でやり切ることの大切さを、改めて実感させてくれる作品でした。

実写映画の方も、ぜひ見てみたいと思います。

全20巻で完結していますし、連載途中だと興味が中途半端になり、来週を待つのが苦手だという方も安心して読めますので、そういう方にもおすすめの作品でした。
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