個人的な感想です。

マンガ・アニメの感想を書いていきます。『進撃の巨人』『ぼくらのへんたい』『ランドリオール』など。

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コミックゼロサム4月号でおがきちかさんの「Landreaall(ランドリオール)」第154話「シークレット」を読みました。

コミックゼロサム4月号でおがきちかさんの「Landreaall(ランドリオール)」第154話「シークレット」を読みました。

コミックZERO-SUM2016年4月号
一迅社


おがきちかさんの「ランドリオール」、25日に単行本27巻が出ました。通常版と特装版では表紙と著者近影、テールピースが変わっていて、(ということは二つ描かれたということですね。)特装版の小冊子とドラマCDと・・・とだいぶ大変だったのでは、と推察します。先日も書きましたように単行本ではかなり修正が入っていましたし、本当に大変な作業の末に私たちが楽しめるものを描いておられるというのは本当に頭の下がる思いがします。

Landreaall 27―ドラマCD &小冊子付き特装版!! (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがきちか
一迅社


また、ゼロサムオンラインで「プチリオール」も公開されていました。この話も好きでした。

というようなこともあったのでしょうか、今回のゼロサムでは扉がカラーで、本章は16ページ。少し短めですが、内容はとても濃いもので、刺さりました。

今回も感想を書きますが、どうしても内容に触れざるを得ないので、まだお読みでない方はご注意を願います。

扉はカラーでDX、イオン、六甲、ディア。DXの竜創が金色に飛び出していてかっこいいです。イオンが槍を持ち、六甲が刀を持ち。(いや、この竜創いいな。アニメで見たい。)

ページをめくると、153話の続き。オズモ(議長)が議会に現れた場面からです。前回のラスト、「リゲイン(ルッカフォート将軍)とユージェニ(前王の孫)が剣を取って争った」ことを巡って激昂する議会を、血まみれで現れたオズモが制する場面の続きです。

この場面は150話でクエンティンがアニューラス(DXの玉階=王位推薦者)にかけた呪いが発動し、アニューラスが同席していたオズモとベネディクト卿に、自らが持つ召喚具で巨大なネコを呼び出し、二人を襲わせようとしたこととつながりますから、そこでどんな惨事が起こったのか、といやでも想像せざるを得ませんでした。それでもとりあえずオズモが無事だと言うことは、どういうことなのかな・・・とは思っていたわけですが。

その真相は驚くべきものだったわけです。

今回は全く、オズモ回であり、またアニューラス回でした。

オズモは20年前の革命の際、つまり「若かりし頃」に活躍した場面(15-16巻でリゲインのDXに対する回想の語りで出てきます)は印象的ですが、「現在」形で出て来るときはむしろDXの結婚相手の心配ばかりしている好々爺、という感じでした。しかし今回は違います。革命の大物であり、政府の指導者であり、政治の表も裏も知り尽くした感じの鋭さが凄く描かれていました。目つきから全然違います。

オズモは、血が付いていると指摘されて、「俺の血じゃない」という。え・・・?いったい何が?と思うわけです。「リゲイン(革命の英雄)とユージェニ(真祖である前王の孫娘)」の対立について聞かれても、「それは問題の本質ではない」と言下に切り捨て、「クエンティンが我々を陥れようとしている」と言い切ります。

「クエンティンは、真祖派と王政派、反王政派の対立が高まっているこのタイミングで議会に対立を煽るために、リゲインとユージェニの対決のネタを伝え、内紛で自滅するように図っている」、というオズモ。問題の本質を彼はすでにつかんでいるわけですね。

そして次のページの1コマ目。「何故忘れていた。王城(われわれ)がクエンティン・シングフェルスに何をしたか」というオズモの厳しい目。アトルニア政府の一員としての自らの責任まで含めて見つめる厳しい目。議員たちははっとします。前王を憎み、「関わるものすべて」を消そうとするクエンティンは、リルアーナの死、ユージェニの存在をも利用して「革命を終わらせる」=「(現在のアトルニアと言う)国を潰」そうとしている、とオズモは喝破します。

「もし国を潰すつもりなら俺もそうした」というオズモの表情は、焼きの入った黒光りのする政治家という感じでド迫力です。「革命とはリゲインの存在、新王の治世、「この国の未来」(鍵カッコは引用者による)すべてだ。クエンティンは19年かけて一人でそれを潰そうとした。させんぞ絶対に。俺も同じだけ時間をかけた。奴は一人、俺は違う」というオズモの言葉にしんとする議場。

前王の暴虐および無茶な戦争による、崩壊寸前だったアトルニアに対する呪いから国を救うのではなく滅ぼすことによって復讐を果たそうとするクエンティンと、さまざまな現実の裂け目を糊塗してでも、アトルニアを立て直し未来に向かって前進させようとするオズモ。その要になるのが前王の死に立ち会った(真実は前王を斬った)リゲインの存在だったわけですね。

一部には密かに知られているその真実を、「リゲインがユージェニに剣を振るった」事実を利用してリゲイン支持派(つまりオズモ=「現」王政(王国ではあるが王はおらず、調停者的に大老ファラオン卿が王位に就く)派)・反王政派(アトルニアに王は必要ない=王という存在が信じられないとするスレイファン卿ら)と真祖派(前王およびアトルニア建国の6つの家系=真祖のみがアトルニアの支配者であるとする超伝統(保守)主義者)との対立を激化させるために用い、オズモたちの綱渡りの国家運営を崩壊させようとクエンティンはしている、ということをオズモははっきりと認識し、それを議会で公言したわけです。

クエンティンは今まで、「反王政派」であることは明らかにされてはいましたが、スレイファン卿ら他の反王政派とは明らかに立場が違う。スレイファン卿らは「王が絶対的な権力を持って間違った愚かな命令を下す王政」に反対しているのであって、クエンティンのように領地であったザンドリオを滅ぼされ、自らもクレッサールで奴隷として売られる、というような経験をしているわけではない。

オズモは、そのことを重視して来なかった、見落としていた自分自身と、アトルニアの支配層=王城=議会とに憤激し、痛烈に反省しているわけですね。

「何故前王が嫌いかは分かった、でもどのくらい嫌いか、は」というクエンティンに対するDXのセリフがありました(これも16巻だったですね)が、まさにその「どのくらい嫌いか」ということを軽視して来たつけ、のようなものを今払わされている、というわけです。

しかしだからといって、自分たちの道は絶対に譲れない。復讐はクエンティン個人のものですが、オズモの国家運営はアトルニアのすべての人たちの未来のためのもの、だからです。「奴は一人、俺は違う」という言葉の重さがそこにあります。

ここは、20年前の革命の真の中心人物として、半ば独裁的なまでに力を振るう政治家としての本質のようなものが表現されていて、迫力がありましたし、考察すればするほど深くなる展開に、圧倒されました。

そして、ついに「返り血のわけ」が明らかにされます。語られる驚愕の真実。

オズモとベネディクト卿、それにアニューラスの三人で善後策を検討していたときに、DXをどうしても王にしたいアニューラスに、その「かくれた欲望」が刺激されると言う「呪いの発動」が起こってしまう。

そして、呪いに囚われて正気を失ったアニューラスは、召喚したネコたち(この二匹が強力であることは第1巻ですでに出て来ています。キルタンツス可愛いですよね)に「オズモとベネディクト卿を殺してお食べ」と命じたのに、二匹はアニューラスに噛み付いたのです。倒れるアニューラス。そこに第3のネコ、「シークレット」が現れます。このネコを見るのは、アニューラスも初めてのようです。

アニューラスは、自分に呪いがかけられて理性が失われ、「なんとしてでもDXを王にしたい」という隠れた欲望を引き出されて、正気を失ってしまった。アニューラスは「自分が正気を失ってしないと決めた命令をしてしまった時に、相手でなく自分を攻撃させるようにシークレットに命じていた」というわけです。

なるほど、これは凄い。こういう設定のものって読んだことなかった気がします。自分が正気を失った時に自分を殺させる、と言う。

それはつまり、自分の「願望の強さ」に、アニューラス自身が「危ないもの」を感じていた、ということなのかもしれません。そう思うとこのDXに対するアンちゃんの思いの強さ、というものにも何だか泣けてきます。

それを察し、「・・・俺か」というオズモも凄い。

「私があなたを殺せと言うならそれは私の裏切りか正気でないかのどちらか。彼が信じる人、彼を信じる人を私は護らなければならない。例えば時に私の意には添わなくても。オズモ議長、あなたがDXさまを裏切ることはないでしょう」という瀕死のアニューラスに、オズモは礼を言います。

ここはオズモに対するアニューラスの信頼と、それを察するオズモのアニューラスに対する信頼の結びつきで、ちょっと泣きそうになります。

瀕死のアニューラスはおそらく、病院に運ばれたのでしょう。病院の廊下のような場所でうつむいて座っているのは、レイでしょうか。その膝の上にいるのは、シークレットでしょうか。レイとアニューラスの間でも、おそらくはこの件(アニューラスが正気を失った時に自らを抑えるために自らを殺す命令をシークレットに課すこと)に関して何かやり取りがあったのでしょう。うつむいているのは王の元にロビンが現れてしまった件もあるかもしれませんが、やはりまずはアニューラスのことだと思われます。

レイは本当はアニューラスのことをどう思っているのか。この二人の関係は、単なる同窓の腐れ縁だと思っていましたが、本当は根本でもっと強い結びつきがあるのかもしれない。いや、あっても可笑しくないのに全然そんなふうに思っていませんでした。このページを見ると、そういうことも気になり始めます。

「ランドリオール」は、本当に深い作品だと思います。読めば読むほど、解釈すればするほど、考察すればするほどそこに立ち現れる構造や人々の思いの重層性というものに感動させられる。ただ流し読んでも面白いのですが、じっくり読むとそこに現れて来るのは、凄く広がりのある世界なのですね。

これからもこの世界の展開を楽しみにしたいと思います。
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