個人的な感想です。

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「千と千尋の神隠し」はどんなふうに生まれたか:スタジオジブリの広報誌「熱風」を読んで

スタジオジブリの広報誌、「熱風」をご存知ですか?

私の周りではほとんど話題に上がって来ないのであまり知られていないのではないかと思うのですが、広報誌なので丸善やジュンク堂、紀伊国屋書店など、ジブリ関連書が常設されている大型書店で無料で手に入れることが出来ます。ただ、広報誌の中ではかなり人気があるようで、棚に置かれると日を置かずしてなくなることが多いのですね。私も最初は棚を狙っていたのだが、2012年の初め頃から定期購読するようになりました。

定期購読は年間2000円と言う費用はかかりますが、内容からしたらかなり安いと思います。ときどき思いがけなく心に残る記事がありますので、もう4年以上取り続けています。

例えば、先日届いた6月号の特集は「日本人と生活革命」で、冒頭の24ページのインタビューが上野千鶴子さん。私の場合、この方の文章はこういうところで出て来ないと読もうなんて(ほぼ)絶対思わないので、世の中を狭くしないためにも役立つなあと思います。(笑)宮崎さんをはじめ、ジブリの方々は主張としては「左」なのですが、とても穏やかな生の感覚というか、そういうものがその背後に流れていて、掲載されている文章も読んでいて静かに心を動かされる、というようなものが多いのですね。

その中で、2014年の10月から連載が続いているのが「プロデューサー奥田誠治が語る「もうひとつのジブリ史」。休載の月もあるので、2016年6月号が第18回になっています。奥田さんは、日本テレビのプロデューサーとしてジブリ映画の担当を30年間続けたという方で、宮崎監督とも家族ぐるみの付き合いを続けているという方です。

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2014-07-16



 


6月号では、「千と千尋の神隠し」がどのように制作されたか、ということに触れられています。宮崎さんは奥田さんに「千晶の映画をやろうか」と言ったのだそうです。千晶とは、奥田さんの娘の名前です。

奥田さんの娘の千晶ちゃんと、「江戸東京たてもの園」を舞台にする、ということからこの映画はスタートしたのだそうです。そして、その途中で「教育上よくない」という理由で主人公の名を「千晶」から「千尋」に変えたのだというのですね。

そのプロセスについては詳しくは本誌を読んでいただけば良いのですが、私が一番印象に残ったくだりを書いておこうと思います。

奥田さんが四歳くらいのときの娘の千晶ちゃんと宮崎監督の山小屋を訪れた際、千晶ちゃんが靴を片方川に落として、奥田さん、宮崎さん、それに鈴木敏夫さんが慌てて追いかけて、必死になって拾ったというエピソードがあったのだそうです。そのあまりに小さな出来事から、宮崎さんはあの日本で最も興行成績を上げ、アカデミー賞まで取った映画を発想したというのですね。あの、千尋が小さい時に溺れて、ハクに助けられた、あの場面。あの場面から、すべては始まったわけです。そんなこと、本当に日常的なすぐ忘れてしまうようなエピソードですよね。そこからあれだけの映画を作る。改めて天才とはどういうものかを思い知らされたように思いました。

付け加えると、この作品では千晶ちゃんが千尋のモデルになっているだけでなく、父親の奥田さんも千尋パパのモデルになっているのだそうです。あの乱暴な運転の仕方、あのダイナミックなものの食べ方は、奥田さんをモデルにしているのだそうです。こういう話はとても面白いですね。

千晶さんはもう成人し、社会人として働いていますが、「彼女は迷ったり悩んだりするたびに、「千と千尋」を見て、メッセージを受け取って来たと言います。今回、そのことを知って、僕はびっくりしてしまいました。」と奥田さんは言っています。これを読んで、それは本当にいい話だなと思いました。

私は読み落としていたのだけど、「熱風」の5月号には、千晶さんの「証言」が10ページに渡って掲載されていました。今改めて読んで見て、これもとても面白く思いました。千晶さんは、本当に千尋みたいにおっとりした人で、それでいて一生懸命な人。「自分が千尋のモデルと言われてもピンと来ない」と言っているそんなところこそが、まさに千尋、という感じだな、と思いました。

宮崎さんは、「山小屋に来る10歳の小さな友人たちのために作った映画」だと語っていたけど、その「友人」がこの作品をどんなふうに受け取っていたのかがよくわかって、本当に素晴らしいと思いました。

確かに、良い児童文学というのはそのように作られるものですね。

ジブリ作品とその背景について関心のある方には、この広報誌はお勧めです。新しいジブリ作品がなかなか公開されなくてじれったく思っている人にも、こういうものを読んで世界を広げてもらうのもいいんじゃないかと思いました。
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