個人的な感想です。

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堀越耕平さんの『僕のヒーローアカデミア』第11巻を読みました。


 


 


堀越耕平さんの『僕のヒーローアカデミア』第11巻を読みました。


この巻はストーリーの中でも一つの山場、活動限界が近いと言われていた『平和の象徴』オールマイトが、ついにその力を使い果たし、主人公・緑谷出久にそのバトンを渡す、その場面を描いたものになりました。


死柄木弔率いる敵(ヴィラン)連合がヒーロー養成高校である雄英1年生の強化合宿を襲い、出久の友人にしてライバル(というとなんか軽いが)である爆豪勝己を拉致したところを、その本拠である横浜・神野区をヒーローたちが急襲したものの、死柄木のバックにいるすべてのヴィランの起源ともいえるオール・フォー・ワンが現れ、神野区一帯を破壊したところにオールマイトが現れて、ついに最後の決戦が始まる、というところからでした。


死柄木たちが爆豪を拉致したのは、その強烈な個性・性格がヴィラン連合に必要だと判断したからなわけですが、爆豪もまたオールマイトを目指してヒーローを志した少年であり、その誘いをはねつけていました。一方、目の前で爆豪(かっちゃん))を拉致された出久は爆豪の親友である切島に誘われ、またそういう時には黙っていない圧倒的なパワー(個性)の持ち主である轟とともに爆豪救出に向かおうとします。しかし、ヒーロー資格のない彼らがその場で戦うことは固く禁じられていて、すでに兄がヴィランにやられた私怨から緑谷や轟とともに傷つき、まわりにも迷惑をかけた委員長・飯田と、ヴィラン追撃のきっかけを作った八百万は、彼らが「戦闘に加わるのを止めるため」にヴィランの根拠地を探りに向かい、そこでオールフォーワンとオールマイトとの戦いに居合わせることになりました。


11巻(90話~99話)はここからです。


内容はぜひ単行本を読んでいただきたいと思うのですが、今回このブログを書こうと思ったのは、雑誌連載時に比べてかなり加筆修正があるなと感じたからです。実際、ジャンプ本誌と照らし合わせながら付箋をつけたのですが、全部で19枚ついてます。あとで知ったのですが堀越さんもツイッターで今までで一番加筆修正が多いと言っておられて、ああそうなんだなあと思いました。


https://twitter.com/horikoshiko/status/794349375224881153


そのあたりを、ちょっとチェックしてみたいと思います。


90話(ジャンプ24号)「手を」は特に修正はありませんでした。出久のアイディアで、爆豪救出に成功します。91話「平和の象徴」は巻頭カラー。爆豪がその場から連れ去られたのを見たオールフォーワンは死柄木たちヴィラン連合をその場から転送し、オールマイトとの決戦に臨みます。この話では36ページのグラントリノのせりふが「連合もあと2人!」だったのが「二人」と漢数字に変わっただけで、大きな変更はありませんでした。


92話「ワンフォーオール」からかなり加筆修正があります。オールフォーワンはオールマイトに力を受け継がせた師匠・志村奈菜を殺していて、その死について語ってオールマイトを動揺させ、また市民を巻き添えにしないために攻撃が直撃したことによってオールマイトはその姿を維持することができなくなり、骸骨のようなトゥルーフォームになってしまい、人々に衝撃を与えます。そしてさらに揺さぶりをかけるために、オールフォーワンは死柄木弔が実は志村の孫であることを明かし、衝撃を与えます。その「君が嫌がることをずぅっと考えてた」というコマの背景が黒く塗られました。


そして追いつめられたオールマイトに人々が「あんたが勝てなきゃ、あんなの誰が勝てんだよ」というコマに背景が入ります。少しずつ絵の密度が上がっていく感じがします。


93話「残り火ワンフォーオール」では修正なし。でもここはもともと凄い密度でした。オールフォーワンはすでにオールマイトの力=ワンフォーオールが緑谷出久に譲渡されていることを見抜いています。


94話「師弟のメッセージ」ではかなりの修正あり。1ページ目がまず全部描き直しです。最初のコマが影絵的でしたがより具体的な描写になりました。1ページ目後半から2ページ目前半の部分がとり出され、それが2ページに増やされ、さらに師の志村との鍛錬の場面の回想がはさまれます。「さらばだ オールフォーワン」の「さらばだ」がほぼ丸々1ページの大きさのトゥルーフォームのオールマイトのアップになりました。ここで彼の「オールマイトとしての最期」の余韻がより深くなっています。そして「さらばだ ワンフォーオール」の場面の深さが、より際立ちました。


そして(最後の)勝利のスタンディングの後、「次は君だ」とテレビカメラを指さすのを見ている出久の顔に、薄いスクリーントーンがかぶせられ、この場面の影がより濃くなりました。そして、泣きじゃくる出久の顔を横目で見るかっちゃんの顔、オールマイトと出久の関係を感づいた顔が、よりはっきりしたように思います。


そしてオールフォーワンが死柄木へのモノローグメッセージを送る場面で、「先生というのは弟子を一人立ちさせるためにいる」という場面が二コマ本誌ではベタだったのが、単行本では情景が描き込まれました。敗北に打ちひしがれ、暗く鈍い決意をするヴィラン連合の様子が、はっきりとわかります。このコマは凄かった。


そしてラストの「次は 君だ」という場面で、明るい方を向く死柄木とコントラストを描くように、出久の向く方向が雑誌では白いままだったのが黒くベタで抜かれ、よりその対比が印象的になりました。


95話「始まりの終わり 終わりの始まり」では2ページ目3ページ目の警察の会議の背景が描き込まれています。事件後の顛末が描かれる中、ラストの数ページで海岸で出久とオールマイトが会話する場面になりますが、「これから君の育成に専念していく」というオールマイトに泣きじゃくる出久、海岸の風景が描き込まれたことと、オールマイトが出久を抱く場面で二人の顔がそれぞれアップになる場面が描き込まれ、そしてさらに海の上に半月が浮かぶ印象的なページが挿入されました。


ここで第一部・完、という雰囲気になっています。


96話「家庭訪問」では1ページ目の「ら致」ということばが「拉致」と漢字にされていました。雄英はこの事件後、全寮制となり、その承諾を取るために教師たちが生徒たちの家庭を回るわけですが、そこで爆豪がオールマイトに出久との関係を訪ねる場面、雑誌で読んだ時よりより一層はっきりと爆豪がその関係をつかんだ印象が強くなりましたが、これは単行本で続けて読むことでよりストーリーがはっきりしたからだと思います。


そして出久の母が全寮制を拒絶する場面で、「(雄英 行かなきゃダメ・・・?)ごめんね出久」というセリフが少しととのえられ、出久の顔が描かれました。このあたり、母の意志がはっきりと表れていて、とても印象的でした。


97話「ガツンと言うからお母さん」は、変更なし。これは意外でした。この時、すでにヒーローになることを決意している出久の姿勢に感動したオールマイトは、母の前で土下座して「彼の憧れに甘え、教育を怠ってきたこと謝罪いたします」というのですが、この時のせりふがとても印象的で、本誌で読んだときとすごく印象が違ったので描き直していると思ったのですが、ここは全くそのままでした。やはり続けて読むと印象がかなり変わる、という例なんだろうなと思いました。


98話「入れ寮」は、まず担任の相沢(イレイザーヘッド)が緑谷たちが爆豪救出に赴いたことを皆の前で叱責し、また他の生徒もそれを知っていたことを見抜いて本来なら全員除籍だ、と言います。この相沢のせりふが背景にべたが塗られていて、その深刻さが強調されています。そして科白上はここが一番大きな変更だと思いますが、「雄英から人を追い出すわけにはいかない」事情を語るセリフが挿入されました。


そして次のページ、皆を盛り上げるために爆豪が上鳴を放電させてアホ面にし、切島に金を差し出す場面が上鳴からカツアゲした?と切島に驚かせるセリフに変えていて、ここは本誌連載のときちょっと流れが悪かったので、とても読みやすくなりました。そして引っ越しが終わり、くつろぐ場面に背景が入っています。そのあと「部屋王決定戦」に行きますが、単行本で読むと雑誌で読んだ時の漂流感がなくなって読みやすくなった気がしました。


99話「さよなら二桁 これから三桁」は、題名が話数のことを言ってます。引き続き部屋王決定戦ですが、結局部屋王はシフォンケーキを食わせた砂糖が獲得します。その票数が6票というのはおかしいなと思っていたのですが、単行本では5票に修正されてました。女子は梅雨ちゃんが不参加だったので5人なんですよね。


そしてラストの方、梅雨ちゃんが爆豪救出に赴いた5人に話をする場面。「心を鬼にして辛い言い方をしたわ」という場面に梅雨ちゃんの表情が描かれ、その下のそれを慰める麗日さんの顔にも影のトーンがかけられていました。次のページの下の麗日さんの顔が角度が変えられてより不自然さがなくなっていました。


見つけられたところは以上ですが、全体に堀越さんの絵に対する強いこだわりを感じました。


『僕のヒーローアカデミア』は本当に絵の密度の濃い作品だと思います。そしてそれをさらに上げるために、またストーリーをより際立たせるために、本当に手を抜かず、描き込んでいるんだなと思いました。


連載時には、絵が間に合わないこともあるのかもしれません。週刊連載の宿命かなと思います。しかしこうして常によりよく仕上げる信念があるからこそ、この作品は素晴らしいものになっているのかなと改めて思いました。

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